今年に入って多貫エステートは太郎さんの成功を見て、二匹目のドジョウを狙い同エリアに同じタイプのアパートを建築することを決めたのです。
ところが建築途中でニコポン光学の赤字決算が発覚し、その影響で工場建設が延期となってしまいました。
ニコポン光学の手厚い家賃補助を前提とした高い家賃設定が成り立たなくなった為、想定利回りが6%に下がってしまいます。勿論販売価格を下げれば売れるかも知れませんがそうすると赤字になってしまいます。
既に工事に着手していたものの売れない為資金繰りが苦しくなり、外装が完成した状態で工事を中断していました。
社長からは茂倉課長に早く客を見つけて契約しろと叱られるのでストレスが溜まっていました。
ふと、茂倉課長は以前太郎さんが二棟目を買いたがっていたことを思い出しました。
そこで、太郎さんに電話してみました。
「太郎さん、たまには食事しませんか?」
太郎さんは、連日空室が出ることにいろいろ対策を考えていました。でも、良いアイデアが浮かびません。
そこで、一人で悩んでも仕方がないので気分転換のつもりで茂倉さんの誘いに乗りました。
そしてその翌日、太郎さんは会社を6時に出て茂倉さんとトックリ亭に入ったのでした。
「太郎さん、2棟目の物件見つかりましたか?」
乾杯のあと茂倉さんはさりげなく聞いてきました。勿論、茂倉さんは今抱えている物件を売りつけるつもりでした。社長からは特別な値引きの承諾も得ています。
「茂倉さん、僕それどころじゃなくなったんです」
太郎さんはシマシマハウスのキャンペーンチラシを茂倉さんに見せ現状を説明しました。
「だから3月には赤字になってローンが払えなくなるかも知れません。そんな状況だから2棟目なんてとても無理です」
「そうですかあ」茂倉さんはガッカリしました。
茂倉さんは初めてシマシマハウスのキャンペーンを知りましたが、これでは更に家賃相場が下がってしまい、物件が売れなくなると感じました。
「太郎さん、実は僕も困っているのです」茂倉さんは生ビールを一気に飲み干し、ため息交じりに現在の苦境を説明しました。
やがて2時間後、茂倉さんと別れた太郎さんは飲みなおす為に一人で昔行きつけだった店に入りました。
そして深夜になって駅に向かいました。
太郎さんは終電に間に合って安心したのか席に座ったとたん居眠りし、結局寝過ごてしまいました。
終点で駅員に起こされた太郎さんは駅を出ていつもの深夜居酒屋で朝の来るのを待ち、寒さに震えながら始発電車で帰宅したのでした。
つづく






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