「ニコポン光学は家賃補助を廃止するようだ」と言いました。
「え、何ですって!」
「まあ、退職する僕には関係ない話だけどね」
そう言って参間さんは改札口から駅構内に向かったのでした。
香森さんはその場で呆然と立ち尽くしていました。
「嘘だろう!ニコポン光学が補助している家賃の3割がなくなったら相場が下落してしまうではないか」
多貫エステートは太郎さんの物件が高い家賃で契約できたことからニコポン光学の従業員をターゲットにしたアパートを何棟か建築中だったのでした。もちろん、人事異動が発生する4月の前に完成させるべく、工事に着手していたのです。
3割の家賃補助が廃止となった場合、完成しても高い家賃を取ることは出来そうもなく、高利回りどころかフルローンで購入したオーナーは赤字になってしまいます。
翌朝、タヌキメイトの香森店長は多貫エステートの多貫社長に電話を入れました。
連絡を受けた多貫社長は急遽営業部の茂倉さんを呼び、急いで対策案を考える様に命令しました。
さて、話を太郎さんが蔵居さんから電話を受けた時に戻します。
「太郎さん、おはようございます。実は入居中の参間さんが3月末で退職の為、退去されることになりました」
「ええっ、また退出なの?」
「はい、実は香森店長からの情報なのですが他にも退職による退出者が出るかもしれません」
「何と!それは問題だ」
「それから、とっても言いにくいんですがもう一つお伝えしなければならないことがあります」
「え、まだあるの?」
「はい、来年3月でニコポン光学の家賃補助制度が廃止になるそうです」
「そうなの?それがどんな影響があるの?」
太郎さんはそのことの重大性を理解していない様子です。
「太郎様、しっかりしてください。家賃補助が廃止されれば入居者はもっと安い家賃のアパートに引っ越します。それに対抗するには家賃を値下げするしかありません」
「え。それは困る。せっかく買った新築デザイナーズアパートでまだローンの残債もたっぷり残っているのに」
「はい、でも実際の退去は半年後です。それまでに私たちも頑張りますので宜しくお願いします」そう言って蔵居さんからの電話は切れました。
太郎さんはしばらく呆然としていました。
「ああ!頭がウニになる。こんな事じゃアパート買わなきゃ良かった」
今頃後悔してももう遅いのです。



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