9月に入りました。8月は何とか一室埋まったものの、残りの一室については問い合わせがありません。
空室期間が長引くに連れ、太郎さんは次第に絶対満室にするモチベーションが段々と低下していきました。
「まあ、前回の空室を埋めるのに5か月かかったから、残り一室も苦戦するだろうなあ。
一室位空室が出ても赤字にならなきゃ良いじゃないか」そんな風に思うようになったのです。
その為。花子さんから「9月攻勢!」と言われても元気のない反応しかできませんでした。
9月と言えば人の動きが活発になります。本来ならば不動産屋さんを回って営業するべき時期なのですが太郎さんは疲れが出て来たのか週末になっても家に籠っていました。確かに1室空室でもなんとか赤字にならずにいられるのでそのままでも良いかと考えることが多くなってきたのです。
結局、太郎さんのモチベーションが下がったこともあり何も動きがないまま9月が終わりました。
空室が一室解消されたのですが、家賃を値下げしたのでさほどの増収にはなりませんでした。ただ、残高が目減りする事はなくなったので太郎さんは一安心でした。
「アニキ、あと一室だよ! 10月攻勢頑張ってね」
そう言われて太郎さんも重い腰を上げようとしたとたん、とんでもないニュースが飛び込んできました。
10月中旬のある朝、太郎さんは出勤前に新聞を読むと「ニコポン光学 また赤字」の見出しが目につきました。
驚いて記事を読みましたが、それによると今年度の中間決算報告は前期に引き続き赤字となったとの事でした。そしてその為の追加対策として50歳以上の従業員に対し早期退職を決定したと記載されていました。
太郎さんは「ニコポン光学も大変だなあ。でも研究所が撤退する訳ではないから自分には影響ないだろう」と気楽に考えていました。
ところがその考えは甘かったのです。
その数日後、太郎さんの元にタヌキメイトの蔵居さんから大変な連絡が飛び込んできました。
つづく



カモネギ脱出ゲーム開催予定


