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太郎さんは山の様にあった領収書が全然経費として入れられていないことに気が付きました。

 

「先生、僕は沢山領収書を取ったんですが、これはどうなりました」

「ああ、あんな領収書はすべて経費に出来ないね」 

「太郎さんの領収書って居酒屋やスナックのものばかりじゃないかい。これって税務署が納得するわけがないじゃないか」

「これらは大家塾の懇親会なんですが。ダメですか?」

「僕はこんな領収書認めないね。だって税務署にアパート経営に絶対必要な費用だと説明できないもの」

 

「それじゃ、セミナー費用の30万円もダメですか?」太郎さんはキャバクラの費用を店長に頼んでセミナー費用と言う名目に変えた領収歩を貰っていたのでした

 

「そりゃダメだよ。だって、母田栗(ぼったくり)商事ってキャバクラの運営会社じゃないか。不動産のセミナーを開催するのは常識から考えてありえない」

「先生、なんでこの会社がキャバクラだとわかるのですか?」

「どきっ! それは調べたから」 

 


急に歯切れが悪くなったのは理由があります。

実は、知近先生は税理士受験地代にこのキャバクラのグループ企業でボーイのアルバイトをしていたからでした。その為にこの会社の正式な名称を覚えていたからでした。

 

「先生それは厳し過ぎますよ。この本にはすべての領収書は経費で落とせると書いてあるんですよ」

 

太郎さんは知近先生に本を見せました。



「ああ、この本かい。全く困ったもんだね。この本に書いてあることはかなり怪しい内容なんだよ」

知近先生は全く取り合ってくれませんでした。

 

これらの費用を申告するかどうかの判断は税理士の先生により異なります。

というのはどこまでが経費として認められるかあいまいなものが多々あり、これに対して税務署が納得できる説明が出来るかがポイントとなります。この部分は税理士の力量による差が大きいところです。

 

生憎、知近先生は未だ開業したばかりです。

今までは勤務先の会計事務所の従業員として仕事をしていたので、いろいろな問題が発生しても事務所の責任として対応できました。

 

ところが、これからは自分自身の判断で行かねばなりません。

最初からへまをやって税務署に睨まれるのは極力避けたいところです。

 

そんな背景があり、知近先生は問題になりそうな領収書を全て申告しないことにしたのです。

 

困った太郎さんは知近先生に言いました。

「でも、これらの領収書は提出する義務はないので黙って申告すればわかりませんよ」

 

知近先生はその言葉を聞いてびっくりしました。

一体どうした事でしょう。

 

つづく

 

 
 
   

 
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