知近先生は一枚の領収書に目を留めました。そして太郎さんに質問しました。
「ちょっと太郎さん、このハワイ旅行って何ですか?」
「これは大家仲間と夏休みハワイの不動産視察に行ったときの領収書です」
「これって、どこにも不動産視察なんて書いていないじゃないですか」
「パックツアーで申し込んだので」
「うーん、これは厳しいなあ。ちょっと税務署に確認します」
知近先生は税務署に電話しました。
知近先生は電話口に相手が出るとペコペコお辞儀をしながら話し出しました。
「あ、税務署様ですか。私この度事務所を開設した税理士の知近と申します。宜しくお願いします。
すいません、お忙しいところ確認したいのですが、ハワイ旅行は経費で落とせますか?」
知近先生は必要以上に丁寧な言葉で電話しています。
「はあ、そうですか。やっぱりダメですか。私もそう思っていました。だったらこんなつまらない電話をするな? はあ、まったくその通りです。ご迷惑をおかけしました。それでは失礼します」そういって知近先生は頭を下げて電話を切りました。
知近先生は緊張で汗びっしょりでした。
「太郎さん、やっぱりダメだって」
太郎さんは、今まで持っていた正義の味方のイメージが音を立てて崩れていくのを感じました。
「先生、そんな聞き方をしたらダメって言うに決まっているでしょう」
「どうせ税務署はわからないんだから黙って申告しちゃいましょう」
その言葉を聞いた知近先生はびっくりして怯えた表情になりました。
「君!なんてこと言うのだ!僕に脱税の片棒を担げと言うのか?」
知近先生はいきなりの豹変に太郎さんはびっくりです。
「いいかい、納税は国民の義務なんだ。正しい申告をしてきちんと納税しないといけないんだよ。遊びに行ったハワイの領収書なんか経費に出来る訳がないだろう」
知近先生は税務署の意向に逆らうことが出来ない文字通りチキンハートの税理士でした。
太郎さんは知近整理士を顧問にしたことを後悔し始めました。
太郎さん、それじゃ僕一枚づつ領収書を精査して申告書の案を作るからね。
源泉徴収票が来たら送ってね。2月には結果が出るからそれまで待っていてください。
「ハワイの件は残念だったけど、他にも領収書は一杯あるから大丈夫だろう」太郎さんはそう思って事務所を出たのでした。
1月の預金通帳 不動産取得税を納税した為に一気に残高が減りました。
5月には固都税の30万円が控えています。
太郎さんは少し心配になってきましたが、額は5万円に下がったもののあいかわらずお小遣いを引き出しています。
こんなことで大丈夫でしょうか?



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