茂倉さんは太郎さんに言いました。
「太郎さん、こんなに早く次の物件を買う人はいません」
「だって、今の物件は満室だし家賃も高いし、大家としては特にやることもありません」
「太郎さん、こう言っては何ですがあの物件は幸運が重なっただけですので同じやり方で成功するかどうかわかりませんよ」
「でも、僕は待てないんだ。だめなら直接社長にお願いする。その時は茂倉さんが反対しているって訴えるから」
電話口でも太郎さんが強烈な「買いたいオーラ」を発していることがわかりました。
「ちょっと、それは困ります。それじゃ社長に相談しますので少しお待ちください」
さすがの茂倉さんも社長に直訴されては困ります。
そう言って茂倉さんは一旦電話を切りました。
茂倉さんは、そこで仕方なく社長に聞いてみました。
「そうか、早くも次の物件を欲しがっているんだな。わが社は売れれば良いのだから問題はない」
「ですが、自己資金が殆どない状態では破綻してしまいます」
「あはは、太郎君はもはやイメージキャラクターではなくなったので破綻しようが我々には関係ない」
「そうですか」
「仮に破綻したなら、その物件を売れば良い。そうしたら我が社は仲介手数料が稼げるからな」
茂倉さんはトックリ亭で太郎さんと仲良く校歌を歌った時とがらりと変わった社長の態度にびっくりしました。
「太郎君には悪いが、自分の頭で考えないような投資家はやがて破綻する。我々は物件を紹介するけどそれを儲かるかどうか判断するのは客だ。我々は決して客を騙そうとしている訳でなく、客の依頼を受けてそれに合った物件を紹介しているだけだ」
「その後の運営は当然自己責任だ。こんな事を理解していない輩が騙されたとか言っているのだ」
多貫社長は茂倉さんに持論を説明しました。確かにその通りです。
「そういえば、太郎君の物件の近くに仕入れた土地があったな。一応その土地に新築を建てる計画なのでそれを売れば良い」
「もっとも、わが社の新築物件を欲しがっているお客さんは山ほどいる。銀行から融資の内諾がなければこの話はなかったことにするからな」
茂倉さんは重い足取りで社長室を出たのでした。
茂倉さんは太郎さんに社長から物件紹介があったこと伝えました。
当然太郎さんは大喜びです。
「わーい! 今度はナウでヤングなギャルが住みたがる物件だぞ」
1週間後、茂倉さんは融資を打診する為に大甘銀行に行きましたが予想した通り、銀行の反応は芳しくありませんでした。
未だ一棟目を買って間もないのと自己資金が100万円しかない状態ではいくら審査が甘い大甘銀行でも融資を承認するのは困難だったのです。
茂倉さんは、他の銀行に打診してみましたがどこも融資をしてくれるところが現れません。
そうこうしているうちに11月が過ぎ、12月になりました。
そして、12月になってある事件が発生した為に二棟目の話は凍結状態になったのです。
その事件とは?
続く



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