「あれ加奈さんは担当が変わったの?」
「はい、一昨日退職いたしました」
「ええ!嘘だろう?」
「いえ、本当です」
太郎さんは放心状態になりました。
あわわわわわわわ
「私もわかりません」
「あー、そうなのかあ。こんどデートに誘おうかと思ったのに」
「すごい!やった!」
「そこで、今週の日曜日に引き渡ししたいのですが御都合はいかがですか?」
「はあい、大丈夫です」
「それじゃ、午後1時に現地でお待ちしています」
茂倉さんからの電話が終わっても太郎さんはぼーっとしていました。
以前、彼女のアルファベンベでドライブした記憶が蘇ってきました。
「もう、あんな楽しいことは二度とないんだなあ」そう考えると太郎さんは悲しくなりました。
太郎さんは思い立って多貫社長に電話を入れました。
「社長、きょう茂倉さんという人から電話がありました」「いったい加奈さんはどうしたんですか」
「おう、太郎さんか。加奈さんは退職したよ。これから茂倉君が太郎さんの担当になったから宜しく頼む」
「ええっ、加奈さんが退職本当だったんですね」
「いやいや、前々から退職したいと言っていたんだ。でも、急に辞めても困るので太郎さんの物件が高い家賃で満室になれば退職して良いという条件を付けていたんだ。今回無事目標を達成したので退職の許可を出したのだよ」
「そうだったんですか。加奈さんは辞めてからどうするんでしょうね」
「わしも詳しいことは知らないけど、お父さんが仕事の関係で来月からアメリカに駐在予定なので一緒に行くそうだ」
「そうですか。じゃ、もう会えないんですね」
「太郎さんには迷惑をかけないよう、すぐに後任の茂倉君を任命したから安心したまえ」
「社長、先ほどその茂倉さんから挨拶がありましたが、不動産については未経験だそうですね。僕心配です」
「大丈夫だ。KB保障一番のホープだった男だ。やる気と根性があればどうにかなる。それに今度大家チャレンジ講習を受けるとか言っていたから知識はすぐ身につくよ」
太郎さんは茫然としていました。
太郎さんはとっても不安な気持ちになりましたが、仕方ありません。
後任の茂倉さんと一緒に頑張ろうと心を新たにしました。
つづく


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