茂倉さんは休憩時間になると職人さんにお茶を出し、いろいろとな世間話をしますが時折愚痴の聞き役になることがあります。
「いやー茂倉さん、この建物作りづらいねえ。最初はデザイナーズアパートを自分で作れるんだと喜んでいたんだけど、これじゃ俺たち楽しくないねえ」
「そうだよねえ。設計したデザイナーは有名かも知れないけど実際の現場を経験していないねえ。恐らく図面の上でしかモノを見ていないんだね」
「体をひねりながら作業しなきゃいけないとか、これじゃ良い建物できっこないよ」
通常、多貫エステートは自社施工するのですが、この物件は遠方なので下請けの貧弱工務店が請け負っていました。ところが、貧弱工務店はデザイナーズ物件を建築した経験がありません。とまどうことが多く、そのために工期が遅れたのでした。
そのような場合、いろいろな施工不良が発生します。それをごまかしながら建築は進みました。
でも、茂倉さんが見る限りこの施工不良は貧弱工務店の腕の悪さではなくデザイン優先の設計に問題があると思いました。なぜなら建具などは特殊サイズばかりなので材料を切断する手間が余分にかかります。切断後の仕上げなど調整に苦労します。その結果、やり直しや施工ミスに繋がり、納期も品質も満足できなくなります。
茂倉さんは、その様子を見てこの建物を買った人はかわいそうだなと感じました。
そして数日後、多貫社長から呼び出しがあり茂倉さんは社長室に入りました。
「いやー茂倉課長ご苦労であった。今回は研修を兼ねて建築現場に行ってもらったんだが、どうだい感想は」
「社長、いきなり建築現場に出されてびっくりしました。自分は初めて建築現場に行っていろいろ版供させて貰いましたが、大変でした」
「うむ、そうだろう。ワシも会社を立ち上げたころは現場で雑用をしながら実地で学んだもんだよ」
「でも社長、今回の建物ってとっても作りにくい様ですね。下請けの貧弱工務店は余分な作業が多すぎると嘆いていました」
「あんな田舎の工務店のいう事なんか無視しろ」
「そうは思いません。だって、最初から作り易い設計ならば工期も遅れないし、品質も良く出来上がるはずです。デザインが良ければ作りにくくても良いなんて言うのはデザイナーの独りよがりです」
多貫社長は少し間を置いてこういいました。
「まあ、そんな感想を持ったのだね。確かにそんな傾向もあるなあ。今回の経験を今後に活かしてくれたまえ」
ところで、今日来てもらったのは4月から本来の営業の仕事を始めて欲しいからだ。
いよいよ茂倉さんは本来の仕事を与えられることになりました。
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