2月も末になったある日、香森店長は加奈さんに電話しました。
「加奈さん、太郎さんのアパート満室になったよ。家賃は共益費込で7.5万円という好条件だ」
「え、本当ですか?」
加奈さんはびっくりしました。
「香森店長、いったいどうやってこの高い家賃で満室に出来たのですか?
「実は高校時代の同窓生がたまたまニコポン光学に勤めていて、この4月から手取市の研究所に単身赴任する事を知ったんだ」
先週、香森店長は高校の同窓会に出席しました。
会の途中でそれぞれが近況を報告しました。その中で昔同級だった参間(さんま)さんが現在ニコポン光学に勤めていて、4月には手取市の研究所に単身赴任することになったことを知りました。一通り自己紹介が終わり、歓談が始まるころ香森店長は参間さんに近づきました。
そして、その翌日香森店長は参間さんと居酒屋で会い、ニコポン工学には単身赴任者に対し手厚い家賃補助制度を聞き込み、それに合わせた家賃設定をしたのでした。
ニコポン光学の家賃補助の条件は家賃の3割を会社が負担する。上限が7万5千円まで3割を会社が負担することになっていました。共益費、駐車場、駐輪場代は対象外です。
また、敷金は1か月以内、礼金は一か月以内であれば会社が負担してくれます。
さすがに大企業です。想像を上回る好条件の家賃補助制度の内容を知って香森店長はびっくりしました。
この条件を元に、香森店長はできるだけ社員が一番良い条件で借りられ、かつ自社の収入が最大になるような家賃設定を検討したのでした。
まず、共益費と駐輪場代を家賃の中に含め、上限の75,000円に設定しました。
そして当初なかった礼金も含める事にした。
その結果、家賃75,000円の3割である22,500円の家賃補助を会社から受け社員の負担額は52,500万円となりました。
この金額は手取市の相場よりは高いものの、ニコポン光学本社の所在する東京都では安い部類になります。地方の相場を知らない参間さんはこの家賃を安いと感じていました。
香森店長は今回の家賃設定のからくりを披露したうえで、こう言いました。
「そのあとは、参間君と一緒に転勤する同僚を紹介して貰って営業したのだ。まあ、少し夜の付き合いと紹介料の支払いにお金がかかったけど、これは社長に交際費として認めてもらおうかと思う」
「そうでしたか。それだったらもっと早く言って下されば私たちも安心したのに。
「ごめん、ごめん。果たしてうまく行くかどうか自信がなかったので今まで内緒にしていたんだ」
加奈さんはとても無理だと思っていた募集が予想以上の結果になったことをとっても喜びました。
そして、さっそく社長に報告しようとしました。
つづく


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