蔵居さんは連日業者回りを続けました。
太郎さんの他にもチバラギ県の新築物件が数件あるのですが、他の建物も現地の相場より高い家賃設定をしていました。これというのも大甘銀行の融資条件が厳しくなったので高い家賃設定をしないと利益が出ないからです。
蔵居さんが手取市の不動産を営業に訪問すると「ダメダメ、こんな高い家賃じゃ決まらないよ。いくらおしゃれでもこの地域の人はこんな家賃払えないからね」どこでもそんな風に言われたのでした。
香森店長、やはり、家賃設定が高すぎます。
一応、話は聞いてくれますがゲラゲラポイです。
ゲラゲラポイとは不動産業者が貰った資料をゲラゲラと笑ってゴミ箱にポイすることです。
うーん、やっぱりそうかあ。でも簡単に家賃を下げると社長の雷が落ちるからなあ。
まあ、もう少し今の家賃で頑張ろう。
それから数日間、シクシク泣く蔵居さんを激励して毎日手取市の不動産業者巡りをさせましたが、相変わらずどの業者も乗り気にならない様子でした。
やがて2月になりましたが、Sumou(すもう)の方でも未だに反響がありません。
一件のメールも入らないのです。
香森店長は時折蔵居さんが営業した地元の業者に電話を入れるのですが、反応は全くないとの事でした。もっとも建物も現在建築中ですので内見しても完成イメージが湧かない事も一因かも知れません。
蔵居さんはすっかりやる気がなくなってきました。
香森店長も叱咤激励しているものの、相場より高い家賃では決まらないのも仕方がないと思っていました。
でも親会社の社長の命令を無視するわけに行かず、困ってしまいました。
そんなある日、変化が訪れました。
繁忙期なので連日夜遅くまで店に残っていた香森店長が、ある日珍しく18時に店を出たのでした。
「店長今日は珍しく早くお帰りですね」
「うん、たまには早く帰らないとね。実は今日高校の同窓会があるんだ。たまには気晴らししなくちゃね」
「はい、そうですか。楽しんでくださいね」
そして翌日、香森店長は表情が明るくなりました。
そしてその日も6時に退社しました。
それから数日間も6時退社が続きました。
「この忙しい時に店長はなぜ早帰りするんだろうか?」
蔵居さんは不思議に思っていました。
そしてその翌週に、香森店長は不可解な行動にでました。
それは?




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