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加奈さんは募集費用の増額の承認を得られたものの、社長からの命令で再度頭を抱える事になりました。

 

「あのタヌキおやじ!」

「こんな会社早く辞めたいわ」

と心の中で悪態をつきながら香森(こうもり)店長のところに戻りました。

 

「店長、社長から広告の予算承認を頂きました」

「さすが加奈さんですね、素晴らしい!でも誤解しちゃ困るけど、僕は加奈さんの提示した7.3万円の家賃で満室にできるとは考えていないよ」

「早めに募集を始めるのは反応を見たいからなのです。その反応次第では条件を緩めるかも知れないからね」

 

加奈さんは反論しました。

「でも、先ほど社長からは建物の完成時に7.3万円の家賃で満室にするようにとの命令を受けました」

「ええっ、なんだって!あんなド田舎のアパート、そんな高い家賃で満室にするなんて無茶だあ」

「でも香森店長、社長の命令は絶対です。逆らえばすぐにクビになります。実際、香森店長の前任者も社長に逆らった為に即日クビになったと聞いています」







「えっ、クビ!?」
それを聞いて香森店長は頭を抱えました。

「えーん、どうしよう」

「僕、今クビになったら生活できない。だって昨年双子の男の子が生まれたんだ。奥さんは育児で働きに出られないし。双子だと入学時一緒なので入学金とかの出費が
2倍になる。

それと広いマンションに引っ越したばかりで、これからローンの支払いが待っている。

そこで将来のことを考えて転職したのに。こんな会社だとは思わなかった」

「そんな事情があって転職したんですね」
 「まあ、今回の事はわが社の広報戦略の一環としてやりますので予算の融通は付きます。ですからその点ではやり易いと思いますので、宜しくお願いします」

 

加奈さんはこう言って香森店長の元を去りました。

 

数日後、香森店長は早速ネットでの募集を開始しました。

既に完成済みの同じタイプの建物があるのでその画像を流用しました。募集条件は家賃6.9万円+共益費を3000円、駐輪場使用料1000円で合計7.3万円としました。

早速、タヌキメイトのホームページに掲載すると共に、Sumou(スモウ)というポータルサイトでも掲載を始めました。

 

また、同時に募集チラシの方も手配しました。

ただ、タヌキメイトは青山にあるので現地とは離れています。将来は親会社の首都圏進出に合わせて手取市近辺にも店舗を作る構想はありますが、現在のところは地元の業者に募集を依頼せざるを得ません。

チラシが出来上がるまではネットだけで反響を見る事にしました。

さて、その後の反応はどうだったでしょうか?

 

             

つづく

 




 
     
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