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 加奈さんは社長から呼ばれました。

急いで社長室に入ると多貫社長はとってもご機嫌な様子でした。

 

「加奈さん、先ほど経理から今年の決算見通しの報告を受けたんだけど、予想以上の増収増益になりそうだ」

「それは良かったですね」

「そこで、わが社もこれからは規模を拡大していけそうだ。そこで今後は積極的に広報活動をしたいと思う」



その後、社長はびっくりする事を言い始めました。

「それで、太郎君をわが社のイメージキャラクターにすることにしたんだ。今後、太郎君をわが社の広告やわが社の多貫カリスマ投資家セミナーの講師を務めて貰おうと思うんだ」

加奈さんはおどろいて暫く声が出ませんでした。




多貫社長は話を続けました。

「太郎君は私と同じトックリ県出身だし、しかも同じ楽京大学の卒業生だからこれは神様が太郎君を引き合わせしたとしか思えない。だから、太郎君をわが社のキャラクターとして活用することにした。これはきっと神様の思し召しだ」

 

いやはや世の中にはとんでもない神様がいるものです

 

「社長、広報活動に力を入れるのは良い事だと思います。

でも、カモネギ太郎さんはわが社のカラーと少し違うような気がします」

「あの方はお気楽な性格であまり深くものごとを考えません。人のおだてに乗ってすぐ舞い上がります。それこそカモネギを地で言っている感じです」


「当社のキャラクターとしては芸能人とか知名度のある人を採用すべきです。カリスマ性を感じさせる俳優とか、親しみを感じさせるなら実際に不動産投資をやっている芸人などが宜しいかと思いますが」

と、加奈さんは言いました。

 

「バカ者!我が社は未だ芸能人や芸人を雇う金などないのだ」

「だから安く使えるユーザーから選ぶんだ」

「それに、太郎君ならばこんなお気楽な投資家でもわが社の物件を購入することで十分成功できる事をアピールすればお客さんに安心感を与える事が出来るとじゃないか」

(一体太郎さんが褒められているのか、けなされているのかわからない表現ですね)

 

社長の剣幕に恐れて加奈さんは言いました。

「まあ、社長がそうおっしゃるならば反対はしません」

(もっとも反対しても人の意見に耳を貸さない社長は考えを変えない事を加奈さんは熟知しています)

 

「そうだろう。そこで、多少の予算をかけてでもあの物件を成功するようにするんだ」

そこで加奈さんは香森店長から依頼された広告予算の件を話しました。

「社長、それでは少し募集チラシなど今までのものより予算をかけても宜しいでしょうか?」

「ああ、よかろう。予算は確保しておくから心配するな。その代り、建物の完成前に絶対に満室にするんだ。それも出来るだけ高い家賃で!最低家賃は加奈が太郎に提示した7.3万円だ!」

加奈さんはびっくりです。

契約を取る為に苦し紛れに言った家賃が独り歩きを始め、いつのまにか目標になってしまったのでした。

 

社長室から出る時の加奈さんは青ざめていました。

 

つづく

 

 

 




 
     
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