そして1週間後、香森(こうもり)店長が赴任しました。
早速加奈さんは香森店長に挨拶にタヌキメイトに行きました。
初めて会う香森店長は丸メガネの似合うのんびりした風貌で、とても辣腕に見えませんでした。
「香森店長、初めまして。私多貫エステートの営業を担当している槍手加奈と申します。
これからは一緒になって仕事を進めていくことになりますので宜しくお願いします」
「ああ、あなたが槍手さんですか。先日社長から話を聞いています。こちらこそ宜しくお願いします」
「着任早々で申し訳ありませんが、弊社の新しいプロジェクトであるチバラギ県手取物件について協力して頂きたいと思います」
「はい、社長からも直々に頼まれていますので、近日中に現地に確認に参ります」
そして数日後、香森店長は部下を伴って現地の視察と近隣の不動産屋巡りで現状把握を行いました。
その翌日、加奈さんに報告に来ました。
「いやー、現地に行きましたが大変な物件ですねえ。一体これをいくらで販売したんですか?え、7000万円ですか?原価は土地が1千万円、建物が4000万円程度だから合計5000万円程度でしょうね。ずいぶんと儲けるんですね」
加奈さんはむっとして答えました。
「香森店長、この価格は本社のビル賃貸料や人件費を考えると妥当だと思います」
「通常、アパートの原価の3割-4割は経費として必要です。人件費や広告費なんか店長の想像以上に必要なのです」
「ああ、そうなんですね。まあ、今さらそんな事を論争しても始まらないね」
「でも、いくら新築のデザイナーズ物件でも地域相場とかけ離れた家賃設定は無謀ですねえ。手取市の業者にヒヤリングしてみたけど、彼らの意見では家賃は最大でも共益費込で6.5万円だった。私の経験でもその位が妥当かなあと思います」
「うーん、やっぱりそうですか」加奈さんはガッカリしました。
そして香森店長は気になることを言いました。
「現地に行ったけど、周りはシマシマハウスの新築アパートが多数建築中でした。こちらの方は我々のアパートより早く完成するから数少ない需要を先取りされてしまうかも知れないので非常に危ない状況だということがわかりました」
「香森店長、やはり厳しいですね。仮に6.5万円で貸すとすると家賃収入は年間624万円です。ローン返済が年間570万円ですので残りがわずか54万円これでは管理費5%の31万円を支払うと残りはわずか23万円。他にかかる経費を考慮すると殆ど利益ゼロになりますね。もし、一室でも空けば赤字転落です。困ったわ」
加奈さんは太郎さんに言った家賃7.3万円を後悔しましたが、もう撤回できません。
いったいどうすれば良いのでしょうか。
そこで香森店長があるアイデアを出しました。



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