足元を汚しながら三人はやっと駅に戻りました。
広い駅舎でも駅員は勿論乗客の姿が見えない為、ゴーストタウンの様に感じます。
駅前にはカフェなどしゃれたものもないので電車を待つしかありません。
「うーん、この近辺は立派な道路にも関わらず、水はけが悪いね」
「こんな日に内見者が来たら断られるわね」
鉄道さんが二人に提案しました。「せっかく来たんだから終点の芋洗海岸まで行かないかい?」鉄道さんは駅の写真を撮りたいのでこう誘いました。
「芋洗海岸、懐かしいわ。昔家族で海水浴に良く来たわね」
「はい、それじゃ一緒に行きましょうか」
間もなく到着した芋洗海岸行きの電車に乗り込みました。終点までの距離は短いのですが単線の為、途中駅での待ち合わせが多く芋洗海岸に到着したのは30分後でした。
芋洗海岸駅はやはり寂れた雰囲気を漂わせていました。竜宮城を形どった駅はユニークですが余り手入れされておらず塗装もところどころ剥げていました。
鉄道さんは駅を縦横に歩いて写真を撮り続けています。太郎さんと花子さんはしばらく待っていました。
駅の外に出ました。雨はいつのまにか上がっていました。
季節外なので海岸は誰もおらず閉鎖された海の家が並んでいるだけでした。
「アニキ、このチバラキ電鉄って不便ねえ。手取駅はJR駅から遠く離れているし、単線だから運転間隔は長いし、終点の芋洗海岸は寂れて人もまばらだし」
鉄道さんからも質問が来ました。
「太郎さん、あの物件買う前に自分の足で確認したの?」
「はい、多貫エステートの加奈さんの車に乗って一通り回りました」
「それは十分じゃないね。その後、内見者の立場と同じ様に自分で電車に乗って行って確認するのが鉄則だからね。そうでないと業者は都合の悪い所は避けて案内するんだ」
「アニキ、しっかりしてね。アパート買ってちゃんと経営できるか心配だわ」
その後、次の電車で手取駅に戻りました。
JR手取駅前で鉄道さんは不動産屋に貼ってある募集チラシを眺めて家賃相場を調べました。
ワンルームの家賃が4万円-5万円台、新築で一番高いもので6万円でした。
加奈さんの言った想定家賃の7万円はちょっと高すぎる気がします。
「アニキ、ちょっとこんな家賃相場の安いところの物件買って大丈夫?」
「ウーン」
「太郎さんはますます心配になってきました」
翌日、不安になった太郎さんは加奈さんに電話しました
つづく



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