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周りには建築中のアパートが沢山ありました。


太郎さんは得意げに言いました。

 「これはこのエリアが発展する証拠だと多貫エステートの加奈さんが言っていました」

「いやそうではないと思うよ」

鉄道さんから意外な答えが返ってきました。

 

「だって建てているのはシマシマハウスの建物ばかりだからね」




恐らく地主が相続税対策で建てているのだろうね。需要があるから建てた訳ではないね」

 そんな話をしていると隣の建築現場から初老の夫婦がこちらに歩いてきました。

 


「あんたたち、ここにアパートが建てるの?」

「はい、そうです」

どうも初対面なのに横柄な口の利き方をする人です。

 「私は隣のアパートを建てているところなんで、宜しくお願いします」

「ああ、そうですか。こちらこそ宜しくお願いします」

「ところで、あんたたちのアパートの多貫エステートって聞いたことがないんだけど、大丈夫?建築途中で潰れたりしないの?」

 どうやら会社ではかなり偉い地位の人の様で偉そうな口の利き方をしています。

 「ええ、最近人気が出てきたメーカーです。今後どんどんと発展すると思います。まさか建築中に倒産するとは思えません」(実際にはこんなケースは多くあります)

 「そうかい。なら良いけど。私は有名なシマシマハウスだよ。大手だから安心だ」

「はあ、そうですか。どうしてシマシマハウスに決めたんですか?」

「実は昨年相続税が上がったんでそろそろ相続対策しなければならないと思っていたところシマシマハウスが来てアパートを建てると相続税対策になると聞いたんでで決断したのだ」

 奥さんが横から会話に加わりました。

「シマシマハウスの営業さんはとっても良い人ですよ。犬の散歩を毎日代ってやってくれて助かりました。また、畑の手入れなんかも休みの日にきて手伝ってくれたんです。だから絶対にシマシマハウスで建てようと思いました」

「そうですか。良い営業さんですね」

「でも契約が終わったら転勤でいなくなったのが残念です」

ご主人が話を続けました。
「それに、シマシマハウスは40年満室保証だからずっと安心だね。あんたのところは何年の満室家賃保証なの?」

太郎さんは答えました。「僕は満室保証なんて使いません。それをやると満室時でも家賃が全額入りませんので」

「そうかい、それじゃ募集とか自分で手配するんだね。今時そんな人がいるんだねえ」

「いえ、このやりかたが普通なんですけど」

「そうかい、私の近所ではそんな面倒な事をする人はいないけどなあ」

 

そんな世間話をしたあと、お隣さんは帰りました。

花子さんは羨ましそうにこう言いました」

「いいなあ地主さんは。私もあの地主さんの跡取りのところにお嫁に行きたいわ」

鉄道さんは慌てて花子さんに言いました。

「とんでもない!あの地主さん将来破綻する危険が一杯だよ」

「ええっ!?」

花子さんはびっくりしました。

 

続く

 


     
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