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加奈さんは太郎さんに向かって聞きました

「ところで、カモネギ様はトックリ県に行ったことがありますか?」

  

「はい、あります。実は僕、子供の頃トックリ県のハワイに住んでいたことがあるんです。だからハワイ温泉にも行ったことがあります。」



「なんだって!」

社長がその言葉を聞いてびっくりして大声を出しました。

「いやー本当かい?奇遇だねえ」

「まあ、父の仕事の関係で5年間住んでいましたが小学生の頃だったので細かい事は覚えていません」

「トックリ県の人口は60万人に満たないんだ。これって東京だと板橋区並の人口程度。だから東京でトックリ県出身者なんてなかなか会う事が出来ない」

「それじゃ、ハワイ海岸で海水浴をしたこともあるだろう」

「はい、トックリの海はきれいなので好きです」

「そうだろう。江の島の海岸なんて汚くてトックリ県出身の人間は入れないものなあ」

「今日は同郷の仲間と会えてうれしいなあ」

 

「ささ、トックリ鍋も煮えた頃だよ。食べ給え」

「はい、ありがとうございます。社長、私の事は太郎と呼んで構いませんから」



偶然にトックリ県に接点があったことで多貫社長はご機嫌になりました。

そしてしばらくは鍋を囲みながら、トックリ県の話題で盛り上がりました。

 

 

それが一段落した後、多貫社長は太郎さんに話しかけました

「ところで太郎さん、大学はどちらを出られました」

「楽京大学、経済学部です」

「ええ!何という偶然! 僕も同じ楽京大学、経済学部だよ。トックリ県名物のらっきょうと同じ名前だったのでこの大学を選んだんだ」

「そうですか。それじゃ社長は僕の先輩なんですね」

「楽京大学も学生数が少ないから同じ大学の出身と会う事はめったにないんだ」

「これは単に偶然じゃなくて二人を神様が引き寄せたんだ」

社長は更に上機嫌になりました。

 

「ま、ま、ま、太郎君飲みたまえ」多貫社長は銘酒トックリ正宗を勧めました。二人は大分酔いが回ってきました。

 

「いやー今日は楽しいなあ」

「そうだ、一緒に歌を歌おう。トックリ節や憧れのハワイ温泉って知っているだろう?」

「ごめんなさい。すっかり忘れてしまっています」

「そうか、それじゃ楽京大学の校歌なら覚えているだろう」

「はい、うろ覚えですが」

 

こうやって、社長は太郎さんと肩を組み一緒に校歌を歌い始めましたのでした。

 

♪ミヤコの東北アダチの外れ

♪らっきょ、らっきょ、らっきょ、らっきょ、らっきょ、らっきょ、らっきょ

 

メロディはどうやらバカ田大学の盗用の様です。

 


夜が更けてきましたが宴は未だ続きます。

 

 

続く





     
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