木曜日になりました。明日には決断して加奈さんに電話しなけれななりません。アドバイスを受ける事が出来るのはこの日限りです。
昨日太郎さんが電話して呼び出した二人と、夜になって落ち合いました。
軽はずみで行動していつも後悔する、軽白元(けいはくはじめ)さん、いくら混んでいる電車でも必ず座ると言う特技を持つ席取巧(せきとりたくみ)さんが今日の相談相手でした。
二人はまだ物件を持っていない不動産投資初心者です。太郎さんは既に戸建を所有しているので二人にとっては尊敬すべき先輩なのです。
仲間が行きつけの居酒屋である豚貴族に入り、多貫エステートの物件資料を見せました。更にニコポン光学の研究所が近くにある事と将来チバラギ電鉄がJRに乗り入れる話もしました。
「すごい!太郎先輩、お宝物件じゃないですか」
「利回り9%超えの新築なんて夢みたいですね。いいなあ」
初心者の二人からとっても羨ましがられて太郎さんは鼻高々です。
太郎さんは気が大きくなって二人にビールを奢りました。
「いやあ、でも、粕壁さんからは反対されたんだ。不動産コンサルの朝井先生に相談したけど、やっぱり賛成してくれなかった」
「太郎先輩、それはきっと見る目がないんですよ。僕は良いと思います」
「だって、あのニコポン光学の研究所が近くにあるんだから安泰じゃないですか」
「それにチバラギ電鉄のJR乗り入れもあるのだからきっと土地は値上がりしますよ。先輩が買わなければ僕が買います」
この二人は、物件が欲しくて仕方がない状態なのです。そういう時は全ての物件が良く見えるので反対意見なんて出る訳がありません。
太郎さんは、相談と称して二人を呼びましたが心の中には褒めてもらい背中を押して貰いたい気持ちが混じっていたのです。
太郎さんは、二人から褒めてもらったので気分が良くなりました。
「そうだ!この物件は絶対にお宝だ!」
「太郎先輩、羨ましいです」
そして前祝と称して三人はカラオケに行くことにしました。勿論支払いは言い出した太郎さんです。
歌う事3時間、そろそろ終電が気になる時間になるころお開きになりました。太郎さんと席取巧さんは同じ方角なので一緒に帰りました。
駅に着いたら丁度終電が発車するところで、二人は乗り込みました。
発車後間もなくしてから席取巧さんは車内を観察し、座っている男の人の前に立ちました。太郎さんもそれに釣られ隣に立ちました。実は、席取巧さんはすぐに降りそうな客をチェックしていたのです。
2,3駅過ぎたころ、この男性は電車を降りました。前に立っていた席取巧さんは太郎さんに座るように勧めました。
「太郎先輩座ってください。僕、この2つ先の駅で降りますから」
太郎さんは喜んで座りました。そして席取さんが降車した後は疲れが出て眠ってしまいました。
つづく





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