先生は届いた生ビールをごくりと飲み込んでから資料を眺めました。
「ダメダメ、こんな物件買っちゃ」
太郎さんはいきなりダメと言われて驚きました。
「どうしてですか?」
「田舎の物件なんて入居者集めに苦心するだけだよ。やはり東京の物件以外買っちゃダメだよ」
「でも、東京の物件って高くて手が出ません」
「そうかい?僕はいろんな物件情報を持っているから紹介できるよ」
そう言ってキャリーバッグからタブレットを取り出し、物件を検索して見せてくれました。
「東京でもこんなに利回りが良い物件がこんなにあるんだよ。これなんかどうだい?利回り12%の高利回りだよ」
「先生、すごいですね」
「ただ、問題は旗竿地なのと崖地であることだ。まあ、崖地でも地震がなければ安全だから大丈夫だよ」
「先生、崖地は怖いです。しかも旗竿なんて二重苦です。他の物件はありませんか?」
「そうかい、それじゃこれはどうだ。平屋の長屋形式のアパート。こちらは利回り20%だよ」
「これって築50年じゃないですか。」
「そうだねえ、でも奈良の法隆寺は築1000年だから50年なんて未だ新しい方だ」
「先生、補修をしている法隆寺と一緒にしないでください。それにこの物件、もう1年以上も売れ残っているじゃないですか」
「それはトイレがくみ取りだから。」
「なんだ、僕、そんな物件いやです」
「そんなことないよ。最近、美人の大家さんがくみ取り物件を安く購入して再生したので、今やくみ取り物件はブレイクしているんだ。だからこの物件もすぐに人気沸騰するに違いないので早いうちに買うべきだよ」
「でも僕、くみ取り物件はいやです」
その後にもいろいろと物件を紹介されましたが、訳あり物件ばかりで買う気にはなりませんでした。
遂に野窓先生は本音をいいました。
「頼むから僕の紹介物件かってくれないか。そうでないと紹介料がはいらないんだ」
「でも、こんな物件ばかりじゃ買いたくありません。この南手取物件の方が良いです」
結局、何の収穫も得られないまま面談は終わっていしまいました。
相談料が1時間で2万円、飲食費が二人で1万円、合計3万円が消えてしまいました。
居酒屋を出ると先生は駅近くのネットカフェに入るとのことなのでそこで別れました。
ノマドなんてカッコつけてるけど、実態は自分の事務所も持てず居酒屋で人の金で飲み食いする只の知的ホームレスなんだなと太郎さんは酔った頭の中で思いました。
不動産コンサルの大半はきちんと依頼者のニーズに適切な対応できる素晴らしい人ばかりですが、少数ながらこのような輩が混じっています。
太郎さんは本日運悪くこのような先生と面談してしまいました。
そんな訳で月曜日は何も参考になるアドバイスを受けることなく終わってしまったのでした。
申込締め切りまであと4日
つづく
カモネギ脱出ゲーム開催予定





