生粋の江戸っ子は生粋の蕎麦が好きです。
子供の頃の寄席見物。故・古今亭志ん生師匠が扇子一本でなんとも美味しそうに蕎麦を食らう仕草を見て感心したのを思い出します。
大人になり、蕎麦好きになってからは駅の立ち食い蕎麦ならだんぜん品川駅構内の何々庵がいいとか、あそこは葱をしこたま入れてくれるとか、狸穴蕎麦のせいろはご隠居の気分だとか、永坂更科
の生粉打ちの素朴さは忘れられないとか、神田のやぶそばだ、室町の砂場だと大変うるさくなってしまいました。善光寺まで蕎麦掻を食べに行ったこともあるのですから・・・。
写真は歌舞伎座の裏手に昔からある〝多吉〟の〝熊笹せいろセット〟です。清涼感があり、夏場、食欲が今ひとつというときにお勧めの一品です。
奥の品は同伴者の頼んだ〝揚げナスをトッピングにしたお蕎麦(正式名不詳)〟で、運ばれてくると実はそっちの方に食指が沸いてしまいましたが、「ちょっと一口」なんていう無作法ははばかれ、彼女が美味しそうに食べ終わるまでじっと見ていました。今度、一人で行って食べてみます。
優美な女性と美味しい食事、これ以上贅沢なコラボレーションはありません。