本当にあった怖い話 -18ページ目

本当にあった怖い話

本当にあった怖い話と意味がわかると怖い話を解説付きで書いています

282 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/09/03(水) 00:09:30 ID:x9pNnhBn0
女地蔵 1/7

誉められると舞い上がるタチですみません(汗)。また来ちゃった。
>>260に面白いお地蔵さまを紹介してもらったので、便乗してもう一つ地蔵尊の話を。

前回の目明き地蔵で、いわくつきの地蔵さまもあるのだと知ってから、しばらく。
教授が、また「地蔵を見に行くぞ」と言ってきた。

今回はほのぼのした話。
N県の中規模のお寺に安置されている【女地蔵】の拝観だった。
このお地蔵さまは鎌倉期に造られた古いもので、人とほぼ同じ背丈を持ち、珍しいことに、体の造りが完全に女体化しているらしい。
「観音さまなら女性に見えないこともないんですが」と教授相手に恥知らずな感想を述べると、「インド神話のラクシュミという女神が起源だから当たり前だ」と、呆れられた。
そんなこと、一般的な知識じゃないじゃんよ(涙)。


283 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/09/03(水) 00:10:26 ID:x9pNnhBn0
女地蔵 2/7

なぜ、女神起源説もない地蔵尊に女性の性別を与えたのか?
尋ねると、教授は、例の鼻にかかった気に触る言い方で答えた。

「女地蔵はもともとG村の守り本尊でね」
「昔、その村には、手のつけられない暴れ者の若い男がいた。男は出生時に母を亡くしていたので、村人は、男の暴力を収めるために、母親の代わりになる女地蔵を造ったんだ」

…なるほど。
「で、男はおとなしくなったんですか?」と重ねて聞くと、「なった。でも、すぐに病気で死んだ」と、愉快そうに答えた。
まったく…。なんだかなあ、この人の思考回路って…。

山道も悪路もない順調な行程で、昼には寺についた。
観光客に混じって駐車場に車を停めた私は、少し浮かれ気分だった。
「お腹空きましたねえ。あとで駅前のメイン通りに行きましょうよ。食べるとこ、調べてきましたから」と、教授に向かってガイドブックをちらつかせる。
意外にグルメの教授は、笑って承諾してくれた。


284 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/09/03(水) 00:11:06 ID:x9pNnhBn0
女地蔵 3/7

拝観料を払い、地蔵尊のお堂に向かう途中、教授が不穏なことを言い始めた。

「暴れ者の若い男が、地蔵ごときでおとなしくなったのはなぜだろう」

【ごとき】って…(汗)。祟られても知りませんよ、私は。
あ、お地蔵さまは祟らないか。

「村の人が、自分のことを心配してくれているのを知ったからじゃないんですか?」

隙がないぐらいまともなことを言った私。でも、教授はニヤニヤと笑う。

「君には若人の生理現象はわからないか」

…生理現象と地蔵のどこに関連がある?
靴を脱ぎ、堂に上がり込む。
御簾の向こうに、木像のおなかの部分が見えていた。

「あれが女地蔵ですか」

確かに、ウェストは艶かしくくびれていた。
無遠慮な教授の後について、もっと近寄ると、豊満な胸と腰布に覆われた下半身が目に入ってくる。
…私よりスタイルがいいかもしれない。

「母親と言うより、若い女だな」

教授は、無人をいいことに、賽銭箱も乗り越えて、御簾の中に入ってしまった。
や、やばくない(汗)?


285 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/09/03(水) 00:11:54 ID:x9pNnhBn0
女地蔵 4/7

「どこまで行くんですか?!怒られちゃいますよ」

ハラハラしながら教授を止めるけど、この人はまったく気に止めない。
地蔵尊の前に仁王立ちした後、側面を覗いたり、後ろに回ったりしている。
見ていられなくて、私は本殿に背を向けた。

「教授~。それって、国宝級の文化財なのでは…」

と、半泣きになりながら、目は入り口を監視していたりする。誰も入ってこないでよお。

「そんな認定は後世の人間が勝手に決めたものだ。そういう差別は、僕は好かん」

いや…教授がどう思うかじゃなくて…。

「何してるんですか?そこまで近づかないと調べることができないんですか?」

畳み掛けると。
こんなことを言われた。

「精液の痕を探してる。若人の暴走を止める目的なら、射精で落ち着かせるのが一番だからね」

このときは、もう二度と教授に付き合うものかと思った。

286 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/09/03(水) 00:12:25 ID:x9pNnhBn0
女地蔵 5/7

結局、何も収穫がないまま、地蔵堂を後にした。
「僕は美談は信じないから、人間らしい痕跡を探したかったんだけど」と言い訳する教授。
…もうどうでもいいよ。疲れた。

「教授は、若い男が暴れたのは、…その…性欲のせいだと思ってるんだ」

我ながら露骨だと赤面しながら、教授に確かめる。

「そう。フロイトも言ってるでしょう。思春期の青年を狂わせるのはリビドーだと」

リビドーっていうのは性衝動という意味らしい。
「でも、まさか木像相手に、そ…そんなこと、しないでしょ?」と否定したけど、男性の性欲については、よくわからない。

「僕の若い頃には、普通に木や石なんか使ったけどね」
「………」

う、うーん…。なんと言っていいのやら。


287 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/09/03(水) 00:13:16 ID:x9pNnhBn0
女地蔵 6/7

「もしも、若人が暴れた原因がリビドーに因るものなら、若人は、いずれ、仮の道具なんかじゃ満足しなくなっただろうね」

駐車場に続く砂利道を下りながら、教授は続けた。

「村には女性もいたはずだ。手当たり次第に襲いかかる若人を、村人はどうしたのかな。病気で死ぬまで待っただろうか」

キーを開けながら、私は黙って聞いていた。

「単なる昔話なら、改心した若人は、村人のために尽くして大往生を遂げるはずだ。なのに、なぜすぐに彼は死んだんだろう」

教授に助手席に乗るように促し、自分も運転席に身を置きながら、思った。
それは反則だよ、教授。そんなふうに言われたら、教授の仮説を信じるしかなくなる…。

【若者は、村人に粛清されたんだ】

エンジンをかけ、いつもの癖でサイドミラーとルームミラーの角度を確認した。
両方ともに、私の背にへばりついて、私の顔を覗き込んでいる、獣のような大口を開けた若い男の姿が映った。


288 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/09/03(水) 00:14:34 ID:x9pNnhBn0
女地蔵 7/7

絶叫は境内まで響いたらしい。
私と教授は寺に保護された。
止まらない震えと涙を、それでもなんとか抑えた。
出してもらった熱いお茶をすすったあと、隣室に用意された布団にもぐらせてもらう。

教授と住職の話が聞こえてきた。

「若い女性にはときどきあるんですわ。まあ、すぐに落ち着きますが」
「それはありがたい。あれが運転してくれないと、昼飯を食いはぐれますから」

…教授の馬鹿。小声で悪態をついた。

「獣のような若い男を見たということですが、何かお心当たりが?」

住職が教授に聞いている。

「いえいえ。まったく」

教授は笑いながらとぼけた。ずるい!

「そちらには心当たりがありますかな?」

今度は教授が住職に聞いた。
私も耳をそばだてた。
住職いわく。

「女地蔵の由来に関係しているのかもしれません。あれは、表向きは和やかな話になっていますが、実は食人を重ねた異常者の魂を慰めるために造られたものです」

教授が補足した。

「それが【若い男】の正体ですな。業の深さゆえに、いまでも女性を食べる欲求を捨て切れていないと」

私は、頭から布団をかぶった。
いまにも食いつきそうだったあの顔が、脳裏から消えない。
625 :猫の親子 1/5:2008/09/01(月) 16:38:55 ID:ErGPIwA40
友人に教えられて覗いて見たら、動物の話があったので書きこんでみます。
俺が生涯体験した最も怖い出来事は、猫たちの話。

本年21歳になる俺は元々田舎の生まれで、少し足を伸ばせば海が見える、山と川に挟まれた愛知県の某町で両親と3匹のシャム猫と暮らしてた。
母猫のジジと、ザザとゾゾの姉弟。ゾゾは体格がよくて、近所のボス猫だったらしい。
生まれたときから一緒だったので、ザザとゾゾは俺をよく構ってくれた。
加減もしらない馬鹿ガキだったけど、猫の機嫌の伺い方は本能で覚えたんだと思う。

ところでその頃、俺が住んでいた一軒家の近所に、父方の実家があった。
祖父祖母叔父夫婦、従兄弟の三兄妹が住んでいたが、俺はその親戚一家に懐かずにいた。
酪農農家を営んでいるからか、家の中はうっすら獣のような臭いがしていたし、向こうの一家も俺のことを特に歓迎していない雰囲気があったからだ。
とりわけ祖父の理不尽な頑固は子供心にも異様に思えたし、父親の兄にあたる叔父は得体の知れないところがあって、どうしても好きになれなかった。
そして普段礼節に厳しい母親も、俺のそんな態度については何も言わなかった。


626 :猫の親子 2/5:2008/09/01(月) 16:40:26 ID:ErGPIwA40
そんなある日、多分小学1、2年のころ、早い時間に目を覚ました事がある。
万年朝寝坊だった俺は、ものすごく冷え込んだ日だったこともあって、そのまままたすぐ布団に潜り込んだ。
一階あたりで何だか声が聞こえたような気がするが、気にしなかった。
ただいきなりザザが飛び込んできて、布団の中に入ってきてくれたのは覚えている。
その後目覚まし時計に起こされたが、ザザはランドセルを背負うまでずっと部屋にいてくれた。

そしてそんなことが日を置いて3,4回続いた。
朝だか夜だか、とりあえず決まって俺は寝ていて、どこか遠くから声が聞こえて起きる。
すると猫が傍に来てくれたり、又は布団の上で寝ていたりして、また眠る。
特に不思議なこととは思わなかった。
ただ、繰り返し遭遇していくうちに、遠くの声は何だか、理不尽に怒鳴るような、一方的な罵声のように思えた。
両親や友達に相談する気も起きなかった。
学校は遊ぶ処だったし、家には猫がいるから、話は猫に聞いてもらって、猫から返事を聞いたような気をしていれば十分だったからだ。
今思えば俺も十分へんな子だったかもしれないが、猫たちは殆ど姉兄のような間柄だった。

しかし小学3年の夏、母猫のジジが入院することになる。


627 :猫の親子 3/5:2008/09/01(月) 16:41:26 ID:ErGPIwA40
ジジは老衰のため消化器官を悪くし、排泄にすら痛みを伴うようになっていたらしい。
小学生の俺はジジの身体が悪くなったことしか判らず、ただ不安になった。
その日は手術のため、母はジジを伴って遠くの家畜病院まで行き、俺は父と親戚の家に泊まった。
従兄弟たちの住む離れは心細く、実家の父の部屋にも泊まれなかった俺は、平屋建て似合わない、ちぐはぐな洋間で寝ることにした。
心細さとジジに対する不安でなかなか寝つけなかったが、ようやくうとうととし始めた頃。

みしぃ、と板敷きが軋む音が聞こえた。眠っている俺を気遣うような、慎重な足取りだった。
トイレは逆方向だし、父親が様子見に来たのだろうかと思い、毛布から少し顔を上げると、そこにはぼうっとした様子の、叔父がいた。
話しかけるでもなく、明かりも付けず、ただ黒ずんだ顔でこちらをじっと見ている。
少し猫背にして、怒っても笑ってもいない、魂の抜けたような顔で俺のことを見ていた。
その只ならぬ様子に声も上げられず縮こまった俺はすぐさま布団を被り目をつむった。
意味が分からなかったし凄く怖かった。どれくらい経ったか分からないが、叔父は一時間以上はそうしていたと思う。やがて気配が去って行っても、俺は布団から出られないまま朝を待った。

叔母が起き出して俺を起こしに来てくれたが、父親が来るまでは絶対に起きない!と言い張り、呼ばれてやってきた父親から家の鍵をその場で貰うと、先に家に帰ると言って飛び出した。
玄関向かって廊下を走っていく途中、食堂の中で叔父が食事をしているのが目に入った。
なんだか細長いパンを食べていたが、真ん中に入った切れ目からは蛆のような白いモノが一杯詰まり、うごめいているように見えて、俺は一目散に家へ帰った。

628 :猫の親子 4/5:2008/09/01(月) 16:44:13 ID:ErGPIwA40
ジジは無事手術を終えたが、それでも長くは生きられない、ということが分かっていた。
急激にみすぼらしくなってしまったジジだったが、頭と声だけはしっかりしているらしく、ことさら丁寧に接するよう厳しく言われた俺にも愛想だけは返してくれた。
あの夜の出来事は迷った後、両親に話した。ふたりとも嫌な夢を見たね、と言ってくれたが、母のほうは胸を撃たれたような顔をしているのを覚えている。

そしてその年の秋、ジジが亡くなった。遺体は庭に植えた南天の傍に埋めた。
俺は落ち込んだが、大往生だと教えられ、悲しまないようにした。ザザとゾゾも居てくれた。
だがそれから2週間も経たずに、ゾゾが死んだ。
車に撥ねられたようで、畑の中で死んでいた。親戚の家が持つ畑で、傍の車道は交通量も少ない。
発見したのは農作業に来ていた祖母だった。わざわざ新しい毛布に包んで持ってきてくれた。
俺は相当ショックだったらしく、聞かされたときは涙も出なかった。
急激に心細くなった俺はザザを呼んだが、その晩は姿を見せてくれなかった。

その次の日の早朝、また例の声が聞こえた。遠くで誰かが怒鳴っている。
しかし、その日はいつもと違い、声が近づいてくるようだった。
俺は驚いた。声は、1階の玄関から聞こえる。どすん、と三和木から廊下に上がる音がした。
かなり乱暴な足音はそのまま2階に繋がる階段まで移動し、罵声は吹き抜けから大きく響いた。

上がってくる。


629 :猫の親子 5/5:2008/09/01(月) 16:46:35 ID:ErGPIwA40
どすん、どすん、一歩一歩踏み鳴らして近づいてくる恐怖に混乱し、俺は布団の上で固まった。
階段を登りきってすぐ左手のドアを開ければ、俺がいるこの部屋だからだ。
逃げ場もない。完全にパニックを起こした俺は声も上げることができずにいた。
もう足音はすぐそこまできている。
怒鳴り声がまた響く。低い男の声だった。

「なんで***を*さんのだや」

その瞬間ガタンッ!とドアが暴れ、ドアが殴られたのだと分かった。
俺は何が起こっているのか分からず、しかしドアの前に「それ」が居るために外にも出られない。

「なんで***を*さんのだや!なんで***を*さんのだや!」

扉の向こうで興奮した罵声が何度も上がり、その度にドアが割れんばかりに殴られる。
もの凄い音でドアが殴りつけられているのに、両親のどちらも起きてこないことが恐ろしかった。
音はやがてドスン!ドスン!と身体ごとぶつけるような音に変わり、そしていきなりそれは止んだ。
ピタッと、冗談のように。
しばらくすると来た時と同じようにどしんどしんと足音を立てて階段を降りて行くのが分かった。
そうしてようやく、俺はわんわん泣いた。その後熱を出して寝込むくらい泣いた。
朝っぱらからどうしたのかと、ノックの後に母が扉を開けて部屋の中を窺ってきた。
するとその間を縫ってザザが部屋に入り込み、身を摺り寄せてきた。
それに酷く安堵したことを、今でも強く覚えている。


630 :猫の親子:2008/09/01(月) 16:47:30 ID:ErGPIwA40
その月の終わりを待たずに、俺と母は婆ちゃんの住む母方の実家へ引っ越した。
婆ちゃんは健在で、俺の両親が離婚することに対しては言葉を濁しながらも賛成だったようだ。
「やっと別れた」とすら言っていた。
これはその婆ちゃんからの口から聞いた話だが、当時、俺の父親は叔父に変わり家業を継ぐ筈だった。
叔父は関東の大学を出た秀才で、向こうで会社勤めの経験があるらしかった。
それに対し、父は名古屋の某三流大学でキャンパスライフを楽しみ、その先で母と出会い結婚、突如就職すると言い出し家族中で揉め、結局独り身の叔父が呼び戻され家督を継いだらしい。
母は農家の嫁になるつもりはなかったが、そんな騒動になっていたとは知らずに田舎に越した。
俺を産んだ際、命名を祖父にしてもらう予定だったが頑なに突っぱねられ、父に理由を問いただして知ったらしい。婆ちゃんもその時電話でこの話を聞かされ、以来母と俺を案じていたそうだ。
そしてあの恐怖の朝のことを話した時、婆ちゃんは神妙な顔で教えてくれた。

「ジジはうちの家から連れて行った子でね、あんたが赤ん坊の時から引っ付いて離れなかった。母親だろうが近づくと威嚇してね。きっとザザとゾゾにもよく言い聞かせてたんだね。あんたは小さいから、良くないモノに恨まれ易いんだよ。」

今にして思えば、我が家で怒鳴り散らしていたのは叔父の生霊のようなものだったのでしょうか。
声がよく似ていたし、父の実家で体験した異様な様子を鑑みればそう思えてなりません。
ただ、猫が3匹とも居た時はひどく遠いもののように感じていたし、俺が最後に出くわした出来事も、ザザが追い払ってくれたと思えました。
そしてそのザザも、越してすぐに姿を消し、戻ってきませんでした。

今でも、キーホルダーに付いたジジの鈴は、俺の大切な御守です。長文失礼しました。

6 :本当にあった怖い名無し:2008/08/10(日) 01:57:38 ID:p9EyjhuF0
(その1)
子供の頃に体験した不思議な話を投下させてもらいます。
幼少の頃の記憶が元になっているので、あやふやなところもあるけどそこはご勘弁を。長いのでいくつかに分けます。

まず話は俺が小学校に上がる前の頃の話(だから多分5歳頃だと思う)。
俺はその頃、中国地方のH県に住んでいた。
で、オヤジの仕事の都合で引っ越すことになったんだ。
引っ越し先はいわゆる「新興住宅タウン」
都会で生まれ育った人にはピンとこないだろうけど、要するに山を一つ切り開いて造成して、住宅タウンとして新しく町を作ろう、ってな感じのとこ。
当時、H県にはそういった新しく出来る住宅タウンが非常に多かったらしい。
(H県だけでなく、地方なら大体そうだろうけど)
その住宅タウンは、山道を車で登っていくと突然周りが開けて、そこに町があるといった風情。なのでその町は山に囲まれるようになってたんだ。

新しい家に引っ越してきて、でも基本的にはまだ田舎だから夜はものすごく暗い。オープンしてまだ間もないタウンなので人もそんなに多くはなかった。なので、親から俺はこんなことを言われた。
「暗くなるまで遊んでると『小鳥子象』に連れ去られて食べられるよ」と。
まぁ今にして思えば大人が子供に「早く帰ってこい」って意味の脅しなわけだが、子供の俺にしてみれば「小鳥」の顔をして、でも胴体が「子象」、そんな化け物がいるのかとすごく怖くて、どんなに外で楽しく遊んでいても夕方には必ず帰るようにしていたんだ(子供心はかわいいねぇww)


7 :本当にあった怖い名無し:2008/08/10(日) 02:00:03 ID:p9EyjhuF0
(その2)
で、うちの数軒隣には、もうかなり前からこの土地に住んでるっていう家のM子という俺と同じ歳の女の子がいた。すごくかわいい子で、まぁ俺の初恋の子なわけだがw
ともかくその子ともよく遊んでいた。
周りには空き地が数多くあり、また建築途中の家もいっぱいあったので、俺たちはそういうところに忍び込んでは「秘密基地だ!」と言いながら、人形が自分たちの子供という設定で夫婦ごっこをしてみたり、またM子の部屋に入って漫画とか読んだりして遊んでいた。
そんなこんなで小学校に入って、もちろん男の友達とかとずいぶんとヤンチャな遊びもしたけど、M子とも引き続き遊んだりもしていた。そうこうしてるうちに、ある日ふと気付いたんだな。

「あれ?M子って同じ歳なのになんで小学校にいないんだろう?と」

ただやっぱり子供なのか、そんな大事なことを「まぁいっか」とあまり深くも考えなかった。

ある日、小学校の遠足でで、小学校の裏山のG山ということに登ることになった。
G山は子供の足で頂上まで1時間30分くらいだったと思う。
頂上には社みたいなところがあって、でも木々が高く昼間でも薄暗くて、ちょっとおっかないところだった。
で、列になって山道を登ってると、ふと気付くと横にM子がいたんだ。
「あ、なんだ。M子もやっぱり同じ小学校だったんだ。何組だろ?」と思いながら(1学年で7クラスあったので、全員を知ってるわけでない)、M子と手を繋いで一緒に登ることになった。
ただM子はいつもと違ってちょっと暗い顔をしていて、言葉少なかったのを鮮明に覚えてる。

どうにか頂上について、お弁当タイムということで、M子と一緒に食べようとM子の姿を探したけど、見つからないんだな。
それに女子と一緒にお弁当食べてると、友達にからかわれるような気もして、その日は結局、下山するときもM子の姿は見えなかったんだ。

8 :本当にあった怖い名無し:2008/08/10(日) 02:01:59 ID:p9EyjhuF0
(その3)
で、その日以降、なぜかM子の姿を見ることが少なくなった。いや、これははっきり覚えてないんだが、そのG山に遠足で登った日以降も、M子と何回か遊んだ気もするし、それっきりM子の姿を見てない気もする。
その辺の記憶はもう定かではない。

小学2年の終わりに俺は、またもやオヤジの都合で今度は東京に引っ越しすることになった。
その頃にはもうM子のことはあまり気にならず、別の女の子が好きだったのでw、引っ越しで出発する日も大してM子のことは気にしてなかった。
ここまでが子供の頃の話。長くてスマン。で、本題はここからだ。

小学3年の春に東京に引っ越してきた俺はその後、ずっと東京にいて、H県には全く帰ってなかった。
(今でもH県には婆ちゃんや親戚は住んでるが、俺自身はあまり交流は無い)
で、数年前に2chのこのスレをみつけて、まとめサイトを読んでると、まぁまずは「コトリバコ」の話が目に付く。
読んでるときは何とも思わなかったけど、数日後にタバコを吸いながら「そういうえばコトリバコって子取り箱って書くんだよなぁ。島根県っていうから、H県と近いよなぁ」なんて思ってて、それでピン!と来たんだ。

「あれ?昔、親から脅された小鳥子象って・・・俺が勝手にそう思ってただけじゃ・・。コトリコゾウ・・・子取り小僧ってことか???」

その瞬間背筋がゾクッとした。いや、まさかな。
でも、島根とH県じゃ隣だし、当時俺が住んでいたところは、H県のハズレの地方で島根との県境も近い。
なんか関係あるのか?」と思い、翌日親に電話で聞いてみた。

「コトリコゾウって子取り小僧ってことか?それってどういう話なんだ?」

親「あぁそうよ。あんたよく覚えてるねぇ。A地方(=H県で住んでいた地方)に伝わる話らしいよ。でも詳しいことは私も知らんわよ」と。


9 :本当にあった怖い名無し:2008/08/10(日) 02:04:52 ID:p9EyjhuF0
(その4)
結局その時は、子取り小僧のことはよく分からない仕舞いだった。
それから数ヶ月後、たまたま仕事でH県にいった俺は、2日ほど休みを取ってレンタカーで昔住んでいた住宅タウンに行ってみることにした。
カーナビでなんとか辿り着いたその住宅タウンは、昔とほとんど変わらない。。。いや、むしろ地方経済不況の波でゴーストタウンっぽくなっていた。

当時住んでいた家は、もちろん今は他人の家だが、外観自体はそのままで懐かしく、その家の前で車を降り、しばらく周りを散歩してみることにした。
で、目に入ったのがM子の家。M子の家も当時と全く同じ外観だった。
M子はもう当然結婚してどっかに嫁いでいるだろうから、実家にはいないだろうけど、俺のことはまだ覚えているだろうか?
そういえばお別れも何も言わずに引っ越してしまって悪いことをしたな、とそんなことを思いながら、M子のお母さんがいれば話を聞けるかもしれないと思い、思い切ってM子の家の呼び鈴を鳴らしてみた。

「はーい」と出てきたのはM子のお母さん。
俺がなんて説明しようかと迷っていると、お母さんが「あら?もしかして・・・Sちゃん?(=俺の名前)」と言ってくれた。
「まぁー懐かしいわねぇ、大きくなって。あがっていきなさいよ。お茶でも飲んでいって」ということで、家の中に通してもらったんだ。

M母「でもまぁどうしたの?突然に」
俺「いや、仕事でこっちのほうにきたのでつい懐かしくなって・・」

としばらくは俺の近況報告みたいなのになったんだが、話が一段落したところで切り出した。

俺「M子ちゃんは今はどうしてるんですか?」
母「・・・・・・・」


10 :本当にあった怖い名無し:2008/08/10(日) 02:07:36 ID:p9EyjhuF0
(その5)
無言なまま5分くらいたっただろうか。下を向いたまま何も話そうとしないM母。
俺もちょっと「何かまずいことを聞いたんだろうか・・」と後悔しはじめた頃にやっとM母が語り出した。

「Sちゃんは・・・まだ小さかったから何も分からなかったのよね。で、すぐに東京に行ったから知らないままだったのね・・・」

俺は訳も分からずポカーンとしてると、M母が全てを教えてくれた。

以下はM母の話だ。方言は標準語に直してるし、話はもっと長いんだが、ある程度要約もしてることを先に断っておく。
また人権問題の微妙な話も含まれるのでその辺りは割愛する。
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M子がまだ1歳の頃の話よ。その頃はまだこの辺りはこんなに開けてなくてね。
山の中の小さな村で・・・この辺りは今でいう「同和」っていうの?要は部落があったのよ。
部落の話はSちゃんもある程度は知ってるわよね?
で、ある時、この辺りを開発するってことで県のお役人がやってきて、私たちと県のお役人で大喧嘩が始まったのよ。
私たちとすればこの土地でこれからもずっとひっそりと暮らしていきたいのに、そんな新興住宅タウンを造るなんてとんでもない!と。
そこで、村の男達が毎晩集まって相談をしていたのね。
この地方にはね、コトリコゾウ様っていう言い伝えがあって、生まれて2歳までの女の子を生け贄としてコトリコゾウ様に差し出すと、ものすごい力で憎い相手を退けることができるって言い伝えがあったの。
私達ももうここ何十年もそんなことはずっとしていなかったんだけど、村の長が「コトリコゾウ様に生け贄を差し出す」って言い出してね、そしたら村の男達も「それしかない!」ってことになったのね。
そのとき村には2歳までの女の子はM子しかおらず、結局白羽の矢がM子に立ったわけ。そりゃ私やお父さんは大反対したわ。でもね、結局、長には逆らえず泣く泣くM子を生け贄としてコトリコゾウ様に差し出したわ。
裏にG山ってあるでしょ。あの山の頂上に社があるんだけど、Sちゃんも行ったことあるでしょ?
あの社にはコトリコゾウ様が祀られているの。長が泣き叫ぶM子を私達から奪って、G山に連れていったわ・・・・。


11 :本当にあった怖い名無し:2008/08/10(日) 02:09:31 ID:p9EyjhuF0
(その6)
でも結局、その後すぐに開発計画は決まって、この辺り一帯は大きく変わったわ。
当然部落もそのときに全て壊されてね。元々住んでいた私らは、この土地に残るもの、県が用意した他の土地に越していく者、いろいろだったわ。
結局、コトリコゾウ様なんてただの言い伝えだったのよ・・・。
Sちゃん達がここに越してきたのは、町がオープンしてすぐの頃だったわよね。
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ここまで聞いて、俺はもうパニックだった。

「嘘でしょ?だ、だって俺小さい頃、M子ちゃんと遊んだりしてましたよ?」
「この家にも何回か遊びにきてお母さんもいましたよね??」

と、上ずった声で必死にM母に問いかけた。
そしてまたM母が語り出す。
====
えぇ、そうね。SちゃんはよくM子と遊んでくれてたわね。
私はね、Sちゃんが近所で一人で遊んでる姿をよく見かけたわ
また一人でSちゃんがうちにあがってきて、M子のためにと空けてあった部屋でずっと遊んでいたわね。
私らにはね、M子の姿は見えないんだけど、うちのお父さんと「あぁSちゃんにはM子のことが見えてるんだね。M子も遊びたい盛りの年頃だ。Sちゃんには悪いが、しばらくつきあってもらおう」って話してたの。
そして、ある頃からSちゃんがそうやって一人で遊んでる姿を見なくなったわ。
これは後から聞いた話なんだけど、○○小学校の1年生って毎年、G山に遠足で登るんですってね?Sちゃんも行ったんでしょ?
これは私の推測なんだけど、SちゃんがG山の社に行ってくれたおかげで、多分M子も成仏したんだと思うわ。
大きくなったらSちゃんにはきちんと話そうと思っていたけど、すぐに東京に行ってしまったでしょ?
お父さんも私もそのことだけが気がかりだったけど、今日こうして話せてよかったわ。
M子のお墓は××の近くにあるの。もし時間があったらお墓参りしてくれると嬉しいわ。
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12 :本当にあった怖い名無し:2008/08/10(日) 02:10:45 ID:p9EyjhuF0
(その7)
もう・・・俺は涙目。自分はずっと霊感なんてこれっぽちも無いと思っていた。
いや、むしろ霊とかそんなものは絶対にいないと思っていた。一応、理系出身なので科学が全てだと思っていた。
けど、もうこの話を聞いたときには涙が止まらず、ただM母の話をうなずいて聞き、そしてM子のお墓参りをして、東京に帰ってきた。

最近になってようやく、このことの整理が自分の中でついてきてこのスレに書いてみようと思った。
有名なコトリバコとコトリコゾウに関連があるのかどうかは結局分からない。
また今でもM母の話が本当のことかどうかは俺にも分からない。自分の記憶の中ではM子は確かに存在していた。遠足の途中で握っていた手の温もりはしっかりと覚えてる。

そもそも・・・俺の初恋って・・・・(苦笑)