電話に出たが、何故かあいつは息を切らしていて、俺が挨拶しても返事がない。
一言だけ「話して、話して」と言ってきたが、何を話せばよいのやら。
よくよく聞けば、電話の向こうから
「もっと聞こえるように言ってやれよ、愛しの彼氏へ」
と、友人の笑い声が聞こえてくる。
さてはあいつら、俺を差し置いて飲んでるんだな、きっと。
飲み屋の騒音で俺の声が届いていないんだ。
畜生。
「話して」って、電話越しにトークさせるつもりか。
乱入してやろうかとも考えたけど、急に電話も切れちまったし、眠気には抗えないので、やめた。
【はなしての解説】
強姦の話。
電話から聞こえてきた「話して、話して」は「放して、放して」ということらしい。
あまり聞き間違えようがないと思われる。
そもそも、場の空気も多少は電話越しでも伝わるでしょうしね。
それに、助けを求めるチャンスがあるのなら、普通に「助けて」とでも言いそうなものである。