日記 | 本当にあった怖い話

本当にあった怖い話

本当にあった怖い話と意味がわかると怖い話を解説付きで書いています

769 :赤緑 ◆kJAS6iN932 :2008/10/05(日) 09:10:06 ID:34cNrvA10
[日記]
1/9

●1985年 2月5日
私は知った。
この世界には神も仏もいない。
いるのは人間のみ。なんて残酷な事実だろう。
希望も何もあったものじゃない。
昨夜、妻の容子が亡くなった。34歳という若さで、だ。
彼女と結婚して15年。2人の子供にも恵まれ、幸せな家庭だった。
それが崩れ去った。
この悲しみはどうすればいいのだろう。
娘の優理は昨夜からずっと泣いていたが、今は疲れて寝てしまった。
暁彦は呆然としていた。かなりのショックを受けてしまったようだ。
私も同じで、涙さえ流れない。私と暁彦の分も、優理が泣いてくれているようだ。

●1985年 2月7日
妻の亡骸を葬ってやらねばならないが、優理が母親の元から離れようとしない。困ったものだ。
暁彦は部屋に篭ってしまった。食事を持っていくと、何も言わずそれだけは食べてくれる。
私はどうすればいい?


770 :赤緑 ◆kJAS6iN932 :2008/10/05(日) 09:14:28 ID:34cNrvA10
2/9

●1985年 2月9日
優理が眠っている間に、亡骸を庭に埋めた。
このようなことは本来許されないのだろうが、妻を焼却し骨にするなんて私には出来ない。
あの美しい姿のまま・・・土に還って欲しい。
目を覚ました優理が泣き叫んでいたが、母親は天国に行ったのだと説明する。
いつまでも優理のことを見守っているよ、と言うと分かってくれたようだ。
聞き分けの良い子だ・・・が、まだ幼い。きっとまた泣き出してしまうだろう。
暁彦は相変わらずだ。何とかしなければ。
しかし私も気力がない・・・。

●1985年 2月12日
優理の部屋から話し声がしたので入ってみると、鏡に向かって会話をしていた。
相手は母親、としているようだ。
残酷だが、母親はもうここには居ない、と言うと、やはり泣き出してしまった。
暁彦は部屋から出てくるようになった。・・・が、すっかり無口になってしまった。


771 :赤緑 ◆kJAS6iN932 :2008/10/05(日) 09:22:26 ID:34cNrvA10
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●1985年 2月18日
夜中、優理が突然泣き出すことが多い。
一緒の部屋に寝るようにしているが、父親の私ではやはり母親の代わりは無理だ。
寝不足の日が続く・・・。

●1985年 2月20日
疲れが抜けない。沈んだ気持ちから抜け出せない。
これで自分が倒れたら、子供達が・・・。しっかりしなければ。

●1985年 2月25日
ひたすらに本を読んでいる。
気分を紛らわせなければ、私まで駄目になってしまいそうだ。
優理が人形と遊んでいた。確か妻から貰ったヌイグルミだ。
そんな姿を見ると、私の心は押しつぶされそうになる。

●1985年 3月2日
興味深い本を見つけた。少し没頭してみよう。
無口で愛想の無くなった暁彦を見ると、イライラしてしまう。
自分の責任だろうに、私は駄目な父親だ。


772 :赤緑 ◆kJAS6iN932 :2008/10/05(日) 09:26:31 ID:34cNrvA10
4/9

●1985年 3月8日
この世界には神も仏もいない。
いるのは人間のみ・・・ならば。
人間は、神になれるのではないだろうか。その業を行えるのではないだろうか。
私はこれからの生涯を掛けるべき、目的を見つけた。
子供達のためにも、きっとやり遂げてみせる。

――――――

●1985年 12月5日
あれから8ヶ月。
必要とされるものは、大半揃った。
財産のほとんどをつぎ込んでしまったが、構わない。
計画は、優理に手伝ってもらおう。
まだ幼いながら、母親に似て、優理は美しい。
彼女こそ相応しいだろう・・・。

●1985年 12月25日
世間はクリスマスだ。
去年の幸せな時間を思い出してしまう。
優理は特にそうだろう。今は部屋にいるが、きっと泣いているに違いない・・・。
2人の子供よ。今にきっと、最高のプレゼントをあげるからな。
それまで我慢してくれ・・・。


773 :赤緑 ◆kJAS6iN932 :2008/10/05(日) 09:29:11 ID:34cNrvA10
5/9

●1985年 12月28日
準備が整った。
しかし、まずは実験をしなければ。優理で失敗するわけにはいかない。
実験の相手は決まっている。暁彦だ。
実の兄妹である訳だし、これ以上の実験体は存在しないだろう。

●1986年 1月5日
・・・失敗だ!
やはり無理なのだろうか?それとも何かが足りなかったのか?
しかしここで止めるわけにはいかない・・・。

●1986年 1月28日
突き止めた。これだ。
媒体に問題があったのだ。
しかしこれは、どうすればいい?
今の時代でこれを大量に手に入れるには・・・?
単純な話だ。そこら辺に居る。
優理なら問題なく連れて来てくれるだろう。

●1986年 2月4日
妻が亡くなってから1年。
待っていろよ、容子。

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774 :赤緑 ◆kJAS6iN932 :2008/10/05(日) 09:33:07 ID:34cNrvA10
6/9

●1986年 3月5日
優理はよくやってくれている。
身なりを整えたその姿は、我が娘ながら心を奪われる。
それに比べて、暁彦の態度が悪くなってきた。
少し頭がおかしくなっているのかもしれないが、まぁ、問題はない。

●1986年 7月16日
頃合だ。明日だ。明日決行する!

●1986年 7月17日
優理は気付いているだろうか。
自分が、誰もが望んで止まないものを手に入れたということを。
しかし、しばらくは様子を見ることにする。
もし本当に成功なら、この応用で妻を蘇らせるのだ。
暁彦も治してやらなければならない。


775 :赤緑 ◆kJAS6iN932 :2008/10/05(日) 09:36:52 ID:34cNrvA10
7/9

●1987年 7月21日
1年振りか。
優理は美しい姿のまま、1年前と何の変化も見られない。
容子が亡くなってから2年以上経ってしまったが、ついに彼女に会える日がきた。

●1987年 7月22日
なぜだ?
なぜ?なぜだ?なぜなんだ?
あれは容子じゃない。あんなもの、容子じゃない!

●1987年 7月29日
祖父が死んでからずっと空き家になっていた家に、あれを隔離した。
あれをどうやって連れて行くか悩んでいたが、どうやってか、優理が連れて行ってくれた。
しかし、あれは一体なんだったのだろう・・・。

●1987念 7月30日
優理が嬉しいことを言ってくれた。
容子は、その魂は、まだここに居るというのだ。
どうやら私のやり方が間違っていたようだ。
優理は全てを知っているのだろう。
あとは優理に任せるべきか?


776 :赤緑 ◆kJAS6iN932 :2008/10/05(日) 09:39:22 ID:34cNrvA10
8/9

●1987年 8月2日
ここに居るというのに、私は容子に会えない。
優理はその存在を感じているようだが、私にはさっぱり分からない。
会いたい・・・美しかった彼女に、会いたい。

●1987年 8月3日
優理に何とかできないかと頼んでみたが、今はまだ何ともならないと言う。
時間が必要だと言い、それも何年掛かるか分からないと言われた。
頭にきて、思わず優理を叩いてしまった。優理は悲しそうな顔をしていた。
しかし分かって欲しい。
私は今、41だ。容子は34で亡くなった。
今後何年掛かるか知らないが、私はどんどん老いていく。
年齢差は開く一方・・・これには耐えられない。
死人は年を取らないし、優理もまた年を取らない。
暁彦の成長もかなり遅くなっているが、暁彦はいずれ、姿かたちが崩れてしまうだろう。
私もまた優理のようになることを考えたが、暁彦と容子の失敗を見てみると、その勇気はない。暁彦のようにいずれ崩れる運命になるのは最悪だ。
一番良いのは・・・私も死んでしまうことだろうか?


777 :赤緑 ◆kJAS6iN932 :2008/10/05(日) 09:43:02 ID:34cNrvA10
9/9

●1987年 8月6日
先日考えたことが、まさに正しい道に思えてきた。
私が死んでも、いずれ優理が目覚めさせてくれる。
しかも、死ねばきっと容子に会えるだろう。
死ぬことにした、と優理に話すと、泣き出してしまった。
寂しいから嫌だというが、暁彦がいるだろう。
変わってしまったが、あれでも兄だ。それに私も、ずっとここに居る。
そう言って抱きしめ、頭を撫でてあげると、やっと泣き止んでくれた。
そして優理は諦めたような顔をすると、ヌイグルミを抱えて部屋に戻っていった。
甘えたいのが痛いほど分かる。しかし私はもう限界だった。
いつか、また家族4人で会えたときには、きっと・・・。
死に方は決めている。
また優理が泣いてしまうだろうから、死体は見せる訳にはいかない。
私は毒を飲み、家の焼却炉でこの身を焼こう。

それでは一時の別れだ。
愛する2人の子供、暁彦、優理。

また会う日まで。

――――――――――
〆寺坂 三矢

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