150 :本当にあった怖い名無し:2008/06/05(木) 01:09:22 ID:mOdbef/4O
僕は中学時代に養護施設で育った。
その時の話。
中一の夏に入所した僕は、他人との共同生活(赤ちゃんから高校生まで居る)に全く馴染めずにいた。
完璧な上下関係の中、何度か逃げ出して児童相談所で知り合った仲間の元に匿われては、見つかったりしていた。
そんな日々が、過ぎていき秋になった頃。
新しい入所者が、僕に割り当てられた部屋にやって来。
同室の皆に挨拶をしていく忍は僕に「似てるね」と言った。
確かに、忍が眼鏡を外したら僕と似た顔立ちかも知れない。
そして、忍が来てから不可解な遊びや出来事が多くなっていった。
施設育ちやDQNの話になりますが、偏見を持たれないようでしたら、少しずつつ投下していきたいと思います。
155 :本当にあった怖い名無し:2008/06/05(木) 03:08:00 ID:mOdbef/4O
忍は僕と違って物おじしない生活で、あっという間に施設暮らしに馴染んで行った。
施設から、近隣の学校へ通学する以外、外界と接触する機会のない僕達にとって、新しい入所者が運んで来る外の世界の話は、かなり魅力的だった。
その、ほとんどが児童相談所の職員の噂話程度だったとしても。
僕が居た養護施設は、家庭環境に問題があったりや不登校児が多く、暴力的な行動が全くない場所だった。
多少の喧嘩はあっても、殴り合いにまで発展する事は無かった。
ある日曜日。
忍が年少(小学生)の子に催眠術をかけると言い出した。
暇を持て余していた、僕達や室長(各部屋の最年長者が一人、選ばれる)までが、面白がってけしかけた。
忍は、五年生の男の子を部屋の隅に立たせ、両手で何度も首筋を触っていた。
そして、相手の肩に顔を寄せるようにして、両手で首を締め出した。
誰も何も言わなかった。
ただ、催眠術の結果だけを待っていた。
しばらく、時間がすぎ、いきなり忍は男の子から顔を離すと同時に両手は離した。
途端に、けたたましい笑い声が室内に響き渡る。
催眠術をかけられた男の子だった。
笑いながら、涙を流し、言葉として聞き取れない何かを叫んでいた。
男の子が近くに居た、他の年少者を突き倒し殴り始めた時点で、室長が忍に止めさせるように叫んだ。
泣き笑いながら、殴り続ける男の子に忍は黙って近づいて行った。
そして、何かを耳元で話しかけながら、男の子の背中を何度か叩いた。
156 :本当にあった怖い名無し:2008/06/05(木) 03:09:13 ID:mOdbef/4O
その瞬間、あれだけ暴れ狂っていた男の子がぐったりと殴りつけていた相手にもたれ掛かるように倒れた。
室長が、忍に「凄いな」と感心したように言ったのを、きっかけに部屋の皆がやり方を教わろうとした。
学校で、試してみたいからと言う理由で。
だけど、忍は決して教えようとはしなかった。
「危ないからダメ」と笑いながら。
その日の夜、僕の隣に布団を敷いて横になっていた忍が話しかけてきた。
小声で、囁くように。
「脈を押さえ付けるんだ。力いっぱい。そうすれば、脳に酸素が行かなくなり、酸欠になる。意識が朦朧としてきたと、感じたら呼ぶんだよ。」
「何を?」
とは、聞けなかった。
大人しい、おっとりとした男の子が、あんな風に豹変して、しばらくたつと何も覚えていずに、馬乗りになった体制のまま、きょとんとしていた事が、たまらなく怖かった。
見よう見真似で、忍のやった催眠術を真似る子達があらわれ、他の部屋にまで流行り出した(部屋は三つあります)
たけど、誰も忍が脈だけを絞めていたとは知らなかったし、たまたま寮母が現場を見付けた事をきっかけに催眠術ごっこは終わった。
そして、それ以来、僕と忍は誰からみても親友と見られる関係になった。
友情ではなく、恐怖で縛られた関係ではあったけれど。
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