猫 | 本当にあった怖い話

本当にあった怖い話

本当にあった怖い話と意味がわかると怖い話を解説付きで書いています

926 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 04/03/31 19:29
昨晩遅く家路に着いた。
手当てもつかない残業を終え、その日も会社で睡眠をとろうと思ったがもう1週間も帰宅していないことに気がつくとなにやら無性に帰りたくなったのだ。
日付も変わり、当然終電もない。深夜料金でタクシーに乗るほど余裕もないので会社で使っている自転車を拝借することにした。

最初は気分転換にちょうどよいと思っていた。
まともに動かしていなかった全身の筋肉が背伸びをしている。
だがその爽快感は寝不足の体には少し刺激が強すぎたのかかえって強く疲労がのしかかってきた。
しまった、自転車じゃ少し距離がありすぎたか。
ケチらずタクシーを使えばよかった。
次第に後悔と疲労が意識を覆いつくそうとしていたそのとき突然「オギャアア」という泣き声があたりに響き渡り思わず自転車を倒しそうになった俺の意識を警戒心がたたき起こした。


927 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 04/03/31 19:29
「な、なぁあ!?」

奇声に奇声で返しながら足をついて泣き声を方をよくみると何のことはない。猫が二匹じゃれていた。
驚かされたにもかかわらず何故か苛立ちはない。むしろその闇夜にまぎれた小さな動物たちがいとおしくさえ感じた。
そういえば俺は猫が好きだった。2chでよく貼られる猫の写真のURLなんかは仕事の合間に何度も荒んだ心を慰めてくれた。
そっと自転車を降り、彼らを脅かすまいと姿勢を低くしてゆっくりと近づいた。

「チッ、チッ、チ、ほら、おいで」

手を差し出す。
騒いでいた猫たちは俺に気づいたのか、急に静かになってこっちをじっと見つめている。

「ほら、おじちゃんと遊ぼう。おいでおいで」

何かいけないことをしているような高揚感に包まれ必死になって声をかけ、四つんばいで猫に近寄っていくが猫たちはかえって警戒心を強めたのか段々と離れていく。

「ほら、ほら、ほらああ」

とうとう腹ばいになったおれはじたばたしながら猫まっしぐらに匍蔔前進を開始した。ズルズルズル・・・
当然の帰結だろうか、音もなく小動物たちはその場から立ち去り彼らの集会跡には埃にまみれ、めくれたシャツから腹部をむき出しにした睡眠不足の男が一人残された。
俺はいつのまにか叫んでいた。自分が惨めで悲しくて虚しくて。
心の底から、腹の底から、思いっきり叫んでいた。
そのままゴロゴロと自転車の方まで転がると、蘇った羞恥心が俺を静かに、なおかつ手早く、その場から立ち去らせたのだった。