マンション業界の秘密日本のマンションは100年後「ほぼ存在していない」、理由は?
私はマンションの資産価値についてアレコレと言ったり書いたりすることを生業としている。日々そういう仕事をしている中で、むなしくなることが度々ある。
私はマンションの資産価値についてアレコレと言ったり書いたりすることを生業としている。日々そういう仕事をしている中で、むなしくなることが度々ある。
それは、私が資産価値を評価しているすべてのマンションは、早ければ50年後、遅くとも100年後にはほぼ存在していないことが確実だからである。
ローマには、2000年以上前に建築された集合住宅が、今も「現役」としてその役割を果たしている。パリにはナポレオン時代に建てられたアパートに今も人が住む。
パリの築200年アパートは、100年後もおそらくアパートとして機能しているだろう。だからナポレオン法典の「共有」概念は、今も100年後も立派に機能しているはずだ。
しかし、今の日本のマンションの100年後は、ほとんどないか、廃虚になっているか、建て替えられているかのいずれかである。
ローマやパリと違って日本のマンションは100年でほぼ命脈が尽きる。なぜか。
理由は、建物の構造にある。ローマやパリの集合住宅は、基本が石造。パリには煉瓦造りもあるだろう。しかし、日本のマンションは鉄筋コンクリート造(RC)である。
石や煉瓦はあまり経年変化しない。雨に打たれても風にさらされても、表面が少し変わるくらい。これに対して、鉄筋の周りをコンクリートで固めたRCは、かなり脆弱だ。
まず、鉄が酸化する。簡単に言えば、さびるのだ。さびると、容積が膨らむ。そして周りのコンクリートに亀裂を生じさせる。その裂け目から雨がしみ込むと、さらに酸化が加速する。
RC構造の軸になっている鉄筋が酸化して、コンクリートが亀裂だらけになると、建物の構造が脆弱になり、やがては人が住めないくらい危険な状態になる。
鉄筋コンクリート造のマンションは、従来まで耐用年数が60年とされていましたが、1998年の税制改正で47年に短縮されました。
なぜ短縮されたのかというと、当時取り壊された鉄筋コンクリート造の建物の平均寿命が約46年だったからだといわれています。
一般的には10年~20年の期間に1度の頻度で、鉄部・外壁塗装工事、屋上防水工事、給水管・排水管工事、電気設備・エレベーター工事(入替工事)などの大規模修繕を、いつ、いくらの費用で実施するのかを計画します。