10年後の成人病発症リスク | Space

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多目的コホート研究(JPHC Study)の調査結果にもとづいて、
現在40~69歳で、今まで心筋梗塞・脳卒中を発症したことがない方が、
今後10年間の心筋梗塞、脳梗塞の発症リスクを計算します。

2016年05月24日
循環器疾病リスクチェック

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40~69歳の人を対象に、健診成績や生活習慣を用いて、その後10年間の心筋梗塞と脳梗塞、脳卒中の発症リスクを予測するモデルを、国立がん研究センターや藤田保健衛生大学などの研究チームが開発した。インターネットで公開されており、誰でも利用できるようになっている。

健診成績や生活習慣から10年間の発症リスクを推定

 サイトで公開されている予測モデルに健診データなどを入力すれば、自分の発症確率をチェックできる。

循環器疾患リスクチェック

http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016ima/20160524-2.jpg
http://www.fujita-hu.ac.jp/~deppub/risk.html

 脳梗塞の予測に必要なデータは、年齢、性別、降圧剤使用の有無、収縮期血圧(上の血圧)、拡張期血圧(下の血圧)、糖尿病の治療、血糖値、喫煙の有無、善玉のHDLコレステロール、悪玉のLDLコレステロール、中性脂肪(リグリセライド)。

 例えば、糖尿病の治療を受けており、空腹時血糖値が110mg/dLで、喫煙習慣がなく、血圧値やコレステロール値、中性脂肪値が高めで、肥満の54歳男性の場合、心筋梗塞が2.5%、脳卒中が9.4%と、リスクは高めに出る。

 心筋梗塞と脳梗塞、脳卒中の発症リスクを予測するモデルを開発した目的は、健診成績や生活習慣の改善を行うことで、どの程度リスク低減できるかをシミュレーションし、実行可能な対策を考え、それらの疾患の予防に役立てることだという。

日本人1万5000人超を16年間調査 精度を検証

 「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。今回の研究は、藤田保健衛生大学、国立がん研究センターなどの研究チームがまとめたもの。

 研究チームは1990年と1993年に茨城、新潟、高知、長崎、沖縄の4県で、心筋梗塞や脳梗塞を発症したことのない40~69歳の1万5,672人の男女を対象に平均16年間、追跡して調査した。

 調査期間中に192人が心筋梗塞を発症し、552人が脳梗塞を発症した。得られたデータをもとに、研究開始時の健診成績・生活習慣からその後10年間の心筋梗塞および脳梗塞の発症確率の予測モデルを開発。

 研究チームは岩手、秋田、長野、沖縄の別の調査でデータを得られた1万1,598人で検証し、予測モデルの正確さを確かめた。

あなたのリスクはどれくらい? リスク低減のために生活習慣の改善が必要

 「将来、病気になる確率(リスク)を予測する目的は、予測を把握することをきっかけにリスク低減のために可能な対策を行い、予測通りにならないようにするです」と、藤田保健衛生大学の八谷寛教授は言う。

 「健診結果から心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを予測して、禁煙するなどして生活習慣を改善することが大切。血圧・脂質・血糖値などの検査成績の改善効果を実感したり、シミュレーションして、心血管疾患の予防に役立ててほしい」と述べている。

 この予測モデルの特徴は、心筋梗塞の発症を予測するために必要不可欠と考えられている善玉のHDLコレステロールの評価を、悪玉コレステロール(LDLコレステロールを含むnon-HDLコレステロール)に加え実施していること。研究チームは同様の同様の方法で、脳梗塞の発症リスク予測モデルの開発と検証も行った。

 また、降圧薬を内服している場合は、血圧値が良好にコントロールされていても、服用していない場合よりも発症リスクが上昇することがある。ただし、降圧薬を服用すると心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが低下することは、信頼性の高い臨床試験によって証明されている。「現在降圧薬を服用中の患者は主治医の指示にしたがって、その治療を継続することが重要」と注意を促している。

循環器疾患リスクチェック(藤田保健衛生大学)
多目的コホート研究(JPHC Study)(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループ)
[ Terahata ]
10年間の心筋梗塞と脳梗塞の発症リスクがすぐに分かる予測モデル


脳梗塞や心筋梗塞 10年先の発症リスク、ネットで予測

 国立がん研究センターや藤田保健衛生大などのチームが血圧やコレステロールなどの値から心筋梗塞(こうそく)と脳梗塞の発症リスクを計算する予測式を開発し、23日からウェブサイト(http://www.fujita-hu.ac.jp/~deppub/risk.htmlhttp://www.asahicom.jp/sp/images/icon-blank.png)で公開を始めた。

 茨城、高知、沖縄など5県で、心臓や血管の病気にかかったことがない1万5672人を平均16年間追跡したデータを解析。このうち心筋梗塞を発症した192人と脳梗塞を発症した552人の分析などから、予測に必要な項目を洗い出した。予測式は他の約1万1千人のデータで検証し、妥当性を確認した。

 対象は40~69歳。降圧薬の服用や喫煙習慣、糖尿病の治療など10項目を入力すると今後10年間の発症確率が示される。例えば、治療中の病気はないが、喫煙習慣があり、血圧や血糖値が高めの54歳男性の場合、心筋梗塞が12・6%、脳梗塞が9・7%と、リスクはかなり高く出た。

 開発者の一人、藤田保健衛生大学の八谷寛(やつやひろし)教授は「自分の将来のリスクを把握して、禁煙治療の開始や生活習慣を改める契機にしてもらえれば」と話す。


八谷 寛


職名教授専攻・専門分野公衆衛生学主な担当科目公衆衛生学所属学会日本疫学会、日本産業衛生学会、日本公衆衛生学会
東海公衆衛生学会、日本循環器病管理研究協議会
American Heart Association
日本肥満学会
International Epidemiological Associatio

略歴

1996年3月名古屋大学医学部医学科卒業1996年5月半田市立半田病院2000年4月名古屋大学大学院医学研究科社会医学博士課程 中退2000年5月名古屋大学大学院医学系研究科 助手2004年6月名古屋大学大学院医学系研究科 助教授
 (2007年 4月より准教授に呼称変更)2008年9月~2010年8月米国ミネソタ大学公衆衛生大学院 Visiting Associate Professor2012年7月藤田保健衛生大学医学部 教授

 八谷 寛

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八谷 寛

http://www.fujita-hu.ac.jp/teacher/medicine/ya/y-hiroshi/upload/20130925-141443-5261.jpg

職名教授専攻・専門分野公衆衛生学主な担当科目公衆衛生学所属学会日本疫学会、日本産業衛生学会、日本公衆衛生学会
東海公衆衛生学会、日本循環器病管理研究協議会
American Heart Association
日本肥満学会
International Epidemiological Association

メッセージ

本学の教育目標である「リサーチマインド豊かな良き医療者の育成」を実現するための衛生学・公衆衛生学教育を、衛生学教室と協力して実践しています。公衆衛生学では、医師として患者さんやそのご家族の生活を支援していく上で重要な社会的制度や考え方を体系的に扱います。病気に関する知識だけではなく、病気や苦しみを持つ人の生活する家庭や社会に目を向け、それらの社会的な側面を十分に理解できる医師の育成に努めたいと考えています。また、病気を予防し、健康を増進させるための制度や社会的な取り組みについても系統的に学びます。症状を持って自分のもとを訪れる人だけでなく、疾病の予防や社会全体の健康水準向上のためにできることは何かを考え、行動できる医師を一人でも多く輩出することが目標です。今後、時代は大きく変化していき、社会制度の変革も避けられないと予想されます。時代の変化に対応できる高い質と思いやりのある人間性を持った医師育成に社会医学的立場から貢献したいと考えています。
 
現在、公衆衛生学教室では、生活習慣病・心血管疾患発症予防に関する疫学研究、作業関連性運動器障害、産業疲労・産業ストレス要因、メンタルヘルス、健康関連尺度の開発などのような課題に、取り組んでいます。これらの研究課題にともに取り組む研究意欲のある大学院生を募集しています。医学部以外の出身者も歓迎いたします。研究に興味がある学生の皆さんの参加も期待しています。
研究活動において特に重視したいことは、研究を通した実務者の育成です。科学論文作成という一連の過程を経ることで、公衆衛生活動に主体的かつ科学的に関わることができる者を育てていきたいと考えます。皆さんからの連絡をお待ちしています。

研究を開始するにあたって、どのような健康上の問題、あるいは要因に注目して研究するかは、本人の興味、当該研究領域の動向を踏まえディスカッションして決定します。検討の方法や、結果については、ディスカッションを重ね、学術雑誌に論文として投稿できるようまとめます。多くの場合、検討は生物統計学の知識の取得や、運用能力の向上と並行して進むことになります。一連の検討が終了する頃には、SPSS やSAS などの統計ソフトをある程度使いこなせるようになっていると思います。検討結果については、適宜ディスカッションを重ね、学術雑誌に論文として投稿できるようまとめます。投稿はほとんどの場合、英語によります。論文の執筆にあたっては、過去の研究成果を検索する力、それらを多くの時間をかけずに読みこなす力、自分自身の検討結果を過去の研究成果に積み重ねて評価できる力、そして文章力の鍛錬が必要になります。課されたタスクを決められた時間内に達成する力を身につけることも極めて重要です。

進路選択に迷っているような場合でも、フィールド調査や疫学的な方法論を集中して身につけることはとても有意義なことです。気軽に話をしにきてください。

略歴

1996年3月名古屋大学医学部医学科卒業1996年5月半田市立半田病院2000年4月名古屋大学大学院医学研究科社会医学博士課程 中退2000年5月名古屋大学大学院医学系研究科 助手2004年6月名古屋大学大学院医学系研究科 助教授
 (2007年 4月より准教授に呼称変更)2008年9月~2010年8月米国ミネソタ大学公衆衛生大学院 Visiting Associate Professor2012年7月藤田保健衛生大学医学部 教授

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研究・業績

研究テーマ

勤労者を対象としたコホート研究に参画し、予防活動を実践しています。また、いくつかの国内、国際共同研究(JALS研究、JPHC研究、JACC研究、NIPPON DATA、ARIC研究、CKD-PC、Look AHEAD研究など)に関わっています。代表的な研究は、愛知県内のある職域(公務員)を対象に、平成9 年から実施しているコホート研究です。具体的には、まだ疾病を発症していない健康な人たちを対象に、生活習慣や検査成績などを研究の開始時に調べます。そして、その後の疾病発症状況を長期間にわたって調べ、調査開始時のどのような特徴が、疾病の発症と関係したのかを統計学的な手法を用いて検討しています。

愛知職域コホート研究
http://koei-nagoya.blogspot.jp/

JALS研究 「日本人集団におけるBMIと脳卒中・心筋梗塞のリスク」
http://jals.gr.jp/result/2010_3_498-505.html

JPHC研究 「リスク因子による個人の脳卒中発症の予測システム」
http://epi.ncc.go.jp/jphc/720/3285.html

資格
日本公衆衛生学会認定専門家日本医師会認定産業医

受賞歴
Journal of Epidemiology Distinguished Reviewer(2011)日本疫学会 奨励賞(2007)日本社会医学会 奨励賞(2007)名古屋大学医学部医学科ベストスマイル賞(2007年3月卒業生から)

八谷 寛

※Webから

脳卒中リスクチェック( 40-69歳の男女が対象 )




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