今、住んでいるのは

隣組のような、表立った組織もない、四百戸近くが居住する、ファミリータイプのタワーマンション。

マンションにしては、駅から遠く、田舎の住宅街の片隅にポツンと立っているような、あまり利便性の良いマンションとは言えない。

なにせ、ド田舎

どうしてこんな所と言う様な場所に、さらしもののように建っています。

それでも、車社会、一戸につきニ区画まで、駐車場のスペースだけは確保されている。

車がなければ、日常が立ち行かないのが田舎の現実。

子育て世代は、共稼ぎが多いのだろうか、日中エレベーターで出会うのは、高齢者ばかり。

さすがに、長い人生を歩んで来た皆さん、挨拶もきちんと

「暑いですね」

「風吹いてますね」

さりげない会話を交わし合う。

とにかく、私も含め、高齢者が多く住んでいる。

老若関係なく、一人暮らしも、多いようです。

築二十年、退職後、老後の終のすみかとして選んで居住したとしたら、皆さん、そこそこの年齢になっているはず。

高齢になり、出ていく人もいるし、(物故)また、高齢で引越してくる人もいる。

なぜか、高層階に高齢者が、結構住んでいます。

私も、間違って高層階に住んでしまった失敗組ですが、最近ホトホトしんどくなりました。

将来このまま住み続けて、良いものか、迷う所が出てきたのです。

まず、

高齢になれば、車の運転はしなくなる。

買い物は?

タクシーや、福祉関係の車を利用しているみたいです。

マンションの玄関には、スーパーの入り口に置かれている様な、やや大きめのカートが三台常備されている。

よっこらしょ、と、車から荷物を下ろし、

それを入れ込んだカートでエレベーターに乗りこみ、自宅までご帰宅。

そのまま、カートが下まで返却されない時も、ままある。

自宅の廊下で一泊かな

「ああ、やれやれ」

また下まで、返しに降りていくの、しんどい時あるよね。


病院への通院は?

タクシーですな、当然、行きも帰りもなので、結構な出費になります。


ゴミだしは?

ご高齢の方が、マメに出せないのか、例のカートにゴミ袋を満載、カートを杖がわりに、しがみつくようにして、ゴミだししているのを見たことがありました。

因みに、民生委員をしている私の知り合いから、聞いた話では、

足が不自由なお年寄りのゴミだしを区長さんが、やってくれている所もあるという。

但し、そこは地域の住宅でマンションではない。

何処に、どう住もうと、高齢になれば、それは‥

不便なことは、数多いだろう。


ただ、

孤独が好きな人、他者との関わり合いを嫌う人には、マンションはうってつけ

玄関の鍵一つで、社会と断絶できる。

「秋深き隣は何をする人ぞ」

表札を出さない家が多く、会えば挨拶ぐらいはするが、隣の家族構成や名前も知らないので、秋でなくても何をしているか、知る由もない。

まず、引っ越しの挨拶がない‥からなあ


個々の家々は、たまたまの縁で、マンションという名の集合住居に住んでいる。

形は、寄り添うように住んでいる様に見えても、中身の住んでいる個人は、それぞれバリケードを張り巡らすように暮らしている。


最近、1階下に引越してきた、人生の大先輩と知り合いになった。

なにか、人恋しそうて、いつも話しかけてくる。

そして、‥‥話が、長い。

ご主人が、入院生活で、一日おきに、病院を見舞うという。

ご自身も、足元がおぼつかない様子で、高層階のエレベーターの乗り降りは、大変なこととお見受けした。

買い物は、日曜日に息子さんが、車で付き添ってくれるとか。

それ以外で用事があるときは、普段、タクシーを利用。

「大変ですね」、と話を聞く。



先日、突然、果物持参で我家を訪ねて来られた。

「どうぞ、家にあがって」と促しても、なかなか家に入ろうとしない。

さりとて、玄関から帰る素振りもない。

三回、「どうぞ」をくり返し、やっと靴を脱いだ。

田舎の人の、「いいですから」を、ああそうですかと、受け入れてはならない。

遠慮も、程度問題だが、三回は、

「お茶でも、どうぞ」

と、誘うべし。

それでも、帰る人は、本当に帰りたいのだろうから、ほっとけ。

という田舎の慣習を、遅まきながら、私もやっと会得した今日このごろである。