『年上の女性』をはじめから読む → scene1定時になるとすばやく退社。
待ち合わせ場所に少し早く着いたが、
既に彼が待っていた。
私を見付けて いつもの笑顔。
私もとびっきりの笑顔を出す。
笑顔がかわいいと言われることがある。
計算で彼に使う自分がいた。
彼は店を予約してくれていた。
気遣いが嬉しくってテンションが上がる。
はしゃぎ過ぎそうになるのにブレーキをかける。
創作料理と書かれた、お酒が飲める店だった。
お洒落で少し高そう。
カウンターに通される。
隣に彼の肩がある。
もう少し近寄りたいけど、
そんなこと出来ない。
微妙な距離に歯がゆさを感じる。
「お酒・・飲めますか?」
そう聞く彼。
こっちを見てない。
私も見れずに
「あまり強くないけど・・少しなら・・」
歩太くんは?と言いたいが、
名前は呼べない。
名詞を飛ばしての会話になる。
「飲める?」
「おれですか?」
名詞がないから聞いてくる。
頷く私。
「飲めます。酒は結構・・なんでも。
でも焼酎が一番好き。
麦が特に」
笑って言ってくれる。
きっと未成年の時から飲んでたな。
言いかけてやめる。
年齢の話しは避けてしまう。
「強い?」聞く私に
「まぁまぁ」
こっちを一瞬見るが、
すぐに前を見る。
緊張している・・
そう感じて、
嬉しくなる。
「そうなんだ。強そう」
そう言いながら彼を見る。
こんなに近くで見るのは初めて。
睫毛が長い。
なきぼくろがあるのは知っていた。
大人っぽく見えていたけど、
近くで見ると、
やっぱり幼さを残したあどけない顔をしている。
そして、綺麗な肌。
やっぱり20歳だな・・
そう感じて、
なんだか自分が恥ずかしくなって、
申し訳なく思った。
「素敵なお店ね」
私が言うと、
彼は曖昧な返事をする。
どうやら照れているようだった。
「普段よく飲みいくんですか?」
名詞を飛ばして聞く彼に
「私?」と答える。
頷く彼。
「う~ん。普通にご飯食べることが多いかな」
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