当日私はX JAPANのhideの大ファンだった。

彼の1stアルバムの初回限定盤を運良く購入することが出来て

それはもう飛び上がる程嬉しかった。

ある日学校から帰って部屋に戻り

彼の歌を聴こうとCDに手を伸ばすと

異変に気付く。


ケースが割れていたのだった。

自分でやっちゃったのかな?

いや、昨日はなってなかったし…


父親が居たので

「俺の大切にしてたCDのケースが割れてんだけど、何かしらない?」と言うと

「あー俺が踏んで壊した」と返ってきた。

「…」

「これすごく貴重でもう手に入らないかもしれないんだよ!」

当日雑誌では購入額を上回る値段が付いて出回っていた。

「あーそうかい。いくらなんだ?」

「1万円くらいになってるよ…」

ズカズカと部屋に行き財布を取って戻ってくる父親。

「ほら。」

1万円を突き付けられた。

それと同時に

「じゃあこれはいらねーな。貸せ」

と半ば奪うようにケースの割れたCDを持ち外へ出て行く。

すると信じ難い光景が。




思い切りアスファルトに叩き付けられたCDが

粉々に吹き飛んで行く。


スローモーションだった。

この時私は文字通り言葉を失い

その光景が目蓋に焼き付いたまま

泣き崩れたのを憶えている。

そしてそれは歳を重ねた今も

鮮やかに蘇る。繰り返す。


お金なんて要らなかった。

唯、ごめんって言ってもらいたかっただけだった。


親ってこう言うモノなんだと

何処の親もこうなんだと

大人って残酷なんだと



思春期の私の心に降った悲しみの雨は

その後何十年経っても

まだ上がる事がありません。



続く