小学生の夏。冷蔵庫にあったアイスを食べた。

暫くして父親が


『誰だッ!俺のアイスを食ったのは!?』

と怒鳴る声が台所から聞こえた。

『僕が食べちゃった』

と答えると父親は

『返せッ!俺が買ってきたアイスだぞ!』

と言う。

どうしていいか分からず

『ごめんなさい』と泣きながら言う。

それを見兼ねた祖母が

『子供に何を言ってんだ!』

と庇ってくれた記憶がある。


ずっと心に引っかっていた出来事で

それでも違和感をどうしても拭えず

自分を父親の立場に置き換えて考えてみても

『食べてしまった俺のアイス返せ』

とは、食べてしまった相手に決して言わないだろうと思う。

今は自分が父親になり

娘が例え自分の食べようと思っていた物を食べてしまっても

『美味しかった?また買ってくるよ』

と言葉にするかな。


子供の笑顔は大切な力の源。宝。生きる証。

40歳になろうとしている今

やっぱりあの時の父親の気持ちは理解できないままだ。




続く。