今日は美樹と2人で会う。
2人だけで会うのは半年ぶり以上か。
「麻衣子は今、
燃えてるらしいから。」
美樹が笑って言った。
「燃えてる?」
「青年実業家。
絶対落とすんだって。」
それでか。
麻衣子は落としたい男性が現れると、
集中してしまう。
長続きはしないのだが。
休日の昼下がりの街は
人で溢れていた。
オープンテラスで
スパークリングワインを飲みながらランチ。
少し贅沢な気分だ。
「で、美樹の方はどう?」
不倫遂行中の美樹は
休みの日は暇になる。
たまのゴルフには
同行しているようだ。
「どうって、変わらないわ。
彼とは相変わらず。
求めず求められず。
付かず離れず。
ってとこかな。」
「寂しくならないの?」
素朴な質問だ。
相手には家族がいて、
休日は何食わぬ顔して
家族サービスしている。
一方美樹はこうして
女友達と昼から飲んでいるのだ。
「寂しくはないかなぁ。
もし、これが毎日一緒だったら
私、疲れちゃうもの。
一人の時間も欲しいし、
友達とも会いたいし、
こういう関係の方が私には合ってるのよ。」
そんなものかしら。
「私たちみたいなの、
【結婚不適合者】
って言うんだって。」
美樹は笑った。
「不適合…酷い言われよう」
私はショックだった。
不適合
なんて
全てを
否定されているようだ。
「まぁ、
確かにそうよ。
結婚したくてもしない人、
結婚出来るのにしない人。
私たちどちらかというと後者じゃない?」
「美樹と麻衣子はそうかもしれないけど、
私は違うわ。
彼氏もいないし。」
私は拗ねたように言った。
「何言ってんの、カナ。
あんたモテるんだよ。
学生の頃から。
気づいてないのはカナだけよ。」
「わたしが?」
自分がモテるなんて
意識した事は全くなかった。
「やだなぁー。
私が付き合ってたあの彼、
最初はカナの事好きだったのよ。
でも、カナが響かないから
私のところに来たんだって。
後から知ってショックだったわよ。」
「そんな、
知らなかったわ。」
「天然だわ。」
美樹は呆れて言った。
後から振り返れば
そうかもと思う事はあるが、
その時言ってもらわないと分からない。
私は恋に鈍感なのだ。
鈍感故に逃した恋もたくさんある。
鈍感故に傷つかなかった恋もたくさんある。
歳と共に
傷つく事を恐れる。
立ち直るための時間もかかるし、
昔は付き合ってくれた友人も
良い歳した女友達を励ます事に時間を割いてくれる程
暇じゃない。
一人で立ち直るしかないのだ。
だから
なるべく
傷つく事から逃げる。
逃げるから
恋愛出来ない。
しょうもない
連鎖。
