もしドラを読み進めていくとこんな会話を見つける。

「感動よ!顧客が野球部に求めているものは感動だったのよ!
それは親も先生も学校も全国のファンもみんなそう!みんな野球部に感動を求めてるの。
感動を与えるための組織が野球部の定義だったんだ」
岩男に当てはめるとお笑い芸人であるが、
今回の恋愛という課題に対しては、
岩男の将来彼女になる可能性がある女性に、感動を与えるための人間であることに気が付いた。
最初に立てた目標の彼女を作るということより、彼女を作り幸せにするということに修正すべきだなと感じた。

その頃岩男は相方に無理矢理紹介してもらった女性とデートの約束をしていた。
成りゆきとしては、岩男が相方の携帯を勝手にいじり、メモリの中の女の子のメルアドをメモし、
メールを送って「俺芸能人の知り合いいっぱいいるで」等しつこくメールし無理矢理会うことになったのだ。

デート当日、待ち合わせ場所に集合した二人は岩男が事前に調べておいたおしゃれなカフェでコーヒーを飲みながらおしゃべりし、順調に時は流れていった。
晩御飯に高級フレンチレストランを予約しており、コース料理をオーダーする。
料理を食べていくうちにだんだんムードが悪くなる。
というのも岩男が出てくる料理を全てフォークだけで食べようとして、高級感が台無しなのである。
そのまましらけてしまって、レストランを出たあとはサヨナラしか会話をしなかった。
「そのうちいい縁があるって」とやさしく神様が声をかけた。
東京の街にしばらく岩男の泣き声は響き渡っていた。