米金融機関決算に期待したドル円の買いも93.40円付近までで、新規の手掛かり材料不足から、
93円付近を下値にレンジ内で揉み合い相場となった。一時、米金融規制強化後退観測から、底堅い
展開となったものの、本日のオバマ米大統領演説でより詳細な金融規制強化となることを懸念され
ているため、動きは鈍くならざるを得ないだろう。本日の東京市場も材料難に方向感に欠ける92.90
円から93.30円程度のレンジ相場になることだろう。ただ、IMFは、日本経済のデフレが続いた場合、
日本銀行は一段の金融緩和政策導入を余儀なくされる可能性があるとしたことが円売り材料と見ら
れる可能性は高い。また、世界の経済活動の回復ペースはそれぞれ異なるとし、景気刺激措置の規
模の差により、米国はEU、日本よりも良好なスタートを切ったと指摘しており、ドルの支援材料と
なることだろう。

  一方、EU、IMF及びECBはギリシャ支援策協議を開始したものの、具体的な内容は5月中旬まで
は発表されない見通しだ。当初、月末までには決着すると思われたが、協議期限の延長は支援策の
不備を懸念することになり、10年物のギリシャ国債利回りは8.4%に上昇している。このように、資
金調達コストの高止まりは財政再建に負担になるため、赤字削減計画が頓挫するのではないかとの
見方も浮上している。 5月の資金必要額が120億ユーロ程度といわれているが、高い利回りが継続
すれば、資金調達は難しくなり、EU・IMF合意による450億ユーロだけでは年度内の資金不足を補え
ないリスクが高まっている。加えて、ポルトガル国債の利回りも上昇したことも、ユーロドルにと
っては売り材料となった。ギリシャと共にポルトガル財政破綻懸念が急浮上している。

昨日は、EU経済指標はなかったが、ギリシャ支援問題が長期化することを背景に、ユーロドルは
1.3450ドルから1.3360ドルまで急落している。その後、買戻しもあったが、1.3400ドル付近は重く、
今後も下値を模索する展開が継続することだろう。毎回の戦略は、その市場の短期的なものを補足
したものだが、長期的なポジションを取るなら、損切りポイント幅を150~200ポイント上値に置く
とよいと思われる。
「カナダドルと豪ドル、一段と上昇する可能性あり」


昨日はカナダドルが全面的に上昇しました。この日、カナダの中央銀行のBOC(カナダ
銀行)は、政策金利を0.25%に据え置いたものの、声明文で前回までの「政策金利を
2010年6月末まで0.25%に維持する」との文言を削除し、6月にも政策金利を引き上げ
る(利上げ)可能性を示唆したことが要因です。声明文を受けてカナダドルを買う動き
が強まり、ドル/カナダドルはパリティ(=1.0000)を再び割り込み、カナダドル/円は1日
で2円以上上昇しました。

また、豪ドルも堅調に推移しました。対カナダドルでは弱含んだものの、ドルやユーロ
などその他通貨に対して上昇しました。この日公表されたRBA(豪準備銀行)議事録
で「金利は平均をやや下回っている、今後一段の利上げが必要になる」との認識が示
され、昨年10月以降の利上げ局面はまだ終了していないことが改めて示されたことが
要因です。豪ドルは昨日のRBA議事録が引き続き支援材料となり、一段と上昇する
可能性があります。

さて、本日はBOE(イングランド銀行)議事録やイギリスの雇用統計(失業率・失業保
険申請件数推移)などポンドにとって重要な経済イベントがあります。ポンドはいつも
以上に大きく動く可能性がありますので注目です。
BOE議事録の最大の焦点は9名の委員の投票行動ですが、今回は政策金利・資産
買い入れプログラムの規模、ともに全員一致で据え置くことが決定されたとみられて
います。予想通り全員一致の場合、雇用統計の結果がポンドに影響を与えそうです。
雇用統計の事前予想は、失業率が4.9%と前回と横ばい・失業保険申請件数推移が
-1.00万件と前回(-3.23万件)に続いて減少するとみられていますが、雇用統計が好
結果になればポンドは上昇し、悪い結果になればポンドは下落しそうです。なお、失業
率は数値が小さいほど・失業保険申請件数推移はマイナスが大きいほど好結果と
なります(失業率は労働力人口に占める失業者の割合・失業保険申請件数推移は失
業保険の申請件数のため)。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○●○本日のオススメ○●○
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「カナダドル/円」

昨日に引き続きカナダドル/円を買いたい。概ね良好なカナダの経済指標に加え、昨
日BOCが声明文で6月にも利上げを行う可能性を示唆したことが、カナダドルの上昇
を後押ししそうです。カナダドル/円は今後、4月7日高値の94円27銭を上抜け、さらに
95円台へ上昇する可能性があります。

米ドル
欧州市場序盤は英、独
の経済指標の好結果を
受けドルが対欧州通貨
で売られると、92.80
円付近での推移となっ
た。NY市場に入り、金
利据え置き後のBOC
(カナダ中銀)の声明
が政策金利の引き上げ
に対してかなりタカ派
的な内容でカナダドル
が上昇すると、ドル/
円も93.00円台を回復
し、前日比堅調に推移
したNYダウにも支えら
れ93.40円付近まで上
値を伸ばした。注目さ
れたバーナンキFRB
(米連邦準備制度理事
会)議長の議会証言の
なかで、「大手金融機
関を解体する権限を金
融規制当局に付与する
提案は建設的だ」との
認識を示したが市場の
反応は限定された。NY
市場終盤にかけてはNY
ダウの上昇も一服し方
向感に乏しい展開とな
ると、93.20円付近で
の一進一退の値動きと
なった。SEC(米証券
取引委員会)が債務担
保証券の販売をめぐり
ゴールドマンを提訴し
たことを受けFSA(英
金融サービス機構)は
20日、ゴールドマンの
正式調査を開始すると
発表した。この問題が
新たなドルの圧迫要因
になる可能性が考えら
れ、また今週末には米
ワシントンで開かれる
G20(20ヵ国財務相・
中央銀行総裁会議)で
人民元問題も議題とし
て取り上げられる可能
性も高いため、この水
準からは慎重スタンス
で臨みたい。
予想レンジ
ドル/円
92.30 - 95.50

欧州通貨
欧州市場序盤に発表さ
れた英3月消費者物価
指数は前月比+0.6%と
予想の同+0.3%を上回
り、その後に発表され
た独4月ZEW景況感調査
の結果も53.0で予想の
45.1を上回ると、ユー
ロ/円は125.60円付近、
ポンド/円は143.25円
付近まで上昇した。し
かし、ギリシャ懸念が
依然として根強いなか、
ウェーバー独連銀総裁
の「EU(欧州連合)の
ギリシャ支援は300億
ユーロでは不足で、デ
フォルト回避には800
億ユーロは必要」と発
言したことが問題視さ
れ、ユーロは対ドルで
1.3430付近、対円は12
5.10円付近、ポンドも
つられて対ドルは1.53
35付近、対円は142.70
円付近まで下押しされ
た。NY市場に入ると、
好調な米大手企業の決
算内容からNYダウが上
げ幅を拡大しリスク選
好の円売りが優勢とな
ると、ユーロ/円は再
び125.60円付近、ポン
ド/円は143.50円付近
まで切り返したものの、
終盤にかけては軟化し
たドル/円の影響を受
けユーロ/円は125.20
円付近、ポンド/円は1
43.20円付近でのもみ
合いとなった。ギリシ
ャのパパコンスタンテ
ィヌ財務相は国際的な
支援制度を活用するか
どうかについて、「借
り入れコストに加えE
U・IMF(国際通貨基
金)当局者との協議の
進展によって決定され
る」との考えを示した。
昨日行われたギリシャ
短期債(3ヶ月物)の
入札は無難に消化され
たが、資金調達コスト
の高さはギリシャにと
って負担になるとみら
れる。またギリシャ債
とドイツ国債の利回り
格差は拡大が続いてお
り、10年債の利回り格
差はユーロ発足以来の
水準を更新しているこ
とから、ギリシャ問題
がユーロの重石となる
展開はまだ続きそうだ。
予想レンジ
ユーロ/円
123.40 - 127.50
ユーロ/ドル
1.3310 - 1.3600
ポンド/円
141.00 - 145.10
ポンド/ドル
1.5210 - 1.5500

オセアニア通貨
欧州市場序盤は英、独
経済指標の好結果の影
響を受け上昇した欧州
通貨につられて、豪ド
ル/円は86.30円付近、
NZドル/円は66.00円付
近で堅調に推移した。
NY市場に入り、カナダ
中央銀行の政策金利に
対するタカ派的な発言
が伝わると同じ資源国
通貨のオセアニア通貨
も上昇に転じ、豪ドル
/円は86.95円付近、NZ
ドル/円は66.40円付近
まで続伸しこの日の高
値を更新した。終盤に
かけてはアイスランド
の火山噴火を受けた空
港閉鎖が徐々に解除さ
れていることから、ジ
ェット燃料需要が回復
するのでは、との期待
感から原油などの商品
市況が反発したことも
サポートとなりほぼ高
値圏で堅調に推移した。
昨日のRBA(豪中銀)
の議事録内容に加え、
同じ資源国通貨のカナ
ダドルの上昇も豪ドル
には追い風となってお
り底堅い展開が予想さ
れるものの、人民元切
り上げのリスクも排除
できないため慎重な押
し目買いスタンスを継
続したい。
予想レンジ
豪ドル/円
84.50 - 87.60
豪ドル/ドル
0.9180 - 0.9410
NZドル/円
65.10 - 67.50
NZドル/ドル
0.7050 - 0.7190
米証券取引委員会に提訴されたゴールドマン・サックスの第一四半期決算が市場予想を上回る好
結果となったことを背景に、ドル円は92円後半から93.38円まで堅調に推移した。週末、米政府の
金融規制強化懸念によって91円後半まで下落したが、その後に提訴問題が一時後退したため、92円
台まで戻されていた。

 ドル円の上下展開の要因は、全て米国サイドにあったが、普天間問題解決が不可能などは鳩山政
権の不信感は高まり、政権維持も困難になりつつある。また、10年度財政赤字拡散は避けられず、
来年度以降の財政削減計画も明確となっていない。そのため、財政赤字補填の日本国債国内消化能
力が限界に達していることに対し、海外勢はギリシャと同然との見方が浮上しているようだ。世界
的なリスクに対し、消去法による安全通貨としての円の位置が脅かされる状況だ。

 また、米長期金利が3.9%近い水準で推移する中、デフレ回避のためにインフレ目標を最大2.0%と
する菅財務相の発言によって、日銀が当面の間、超低金利維持をせざるを得ないとの見方が強まり、
日米金利差拡大観測が高まっていることも、円売り材料だろう。本日は、欧米株式市場の堅調さな
どリスク許容度上昇によって、ドル円の底堅い展開となることだろう。ただ、欧米金融機関の扱う
証券化商品疑惑がある中、22日にオバマ米大統領が金融規制に関する発言に注目されている。

 ユーロドルは予想したように、EU・独ZEW景況感指数が事前予想以上に改善したことを受けて、
1.3470ドルから1.3520ドル付近へ上昇した。その後、ギリシャ政府は、EU・IMFによる資金支援策協
議が10日間継続すると発表したため、支援策の運営、条件など詳細が煮詰まっていないことが露呈し
だした。ギリシャが必要とする資金支援額がEU・IMFが準備する450億ユーロ以上との報道もされ、
ギリシャ財政破綻懸念も強まっている。

同時に、EU・IMF資金支援が順調に実行されなければ、赤字を抱える南欧諸国を支えることも不可能
とされ、デフォルト懸念が一気に拡大する恐れも浮上している。目先の経済指標改善は、一時的に
ユーロドル買い材料だが、根本問題が解決しない限り、ユーロドルの上値は抑えられるとみた方が
よいだろう。ギリシャ国債の利回りが高止まりしていることや経済停滞に繋がるゼネストなどもユ
ーロドル売りだ。

一方、欧州市場序盤のポンドドルは1,53ドル割れまで下落したが、英企業M&Aによるポンド買い観測、
英消費者物価と小売物価指数がやや上昇やユーロドル上昇に連動する格好で、1.5420ドル付近まで
上昇した。また、英世論調査で、与党労働党、野党保守党を押さえ、第3党自民党が支持率トップに
躍進したとの報道に、財政改革期待をした市場筋の買いも手伝ったと見られる。ただ、3党いずれも
英議会の過半数議席獲得は出来ず、ハング・パーラメントとなる可能性が高まっているため、連立次
第では財政削減に対する方針の違いから、財政削減の遅れが懸念される所だ。

市場にあるポンドドル・ショートポジションが多くあるだけに、短期的な経済指標改善によるストッ
プロスを巻き込んだ買戻しが加速する地合いとなることが多いが、高値での滞在時間は短く、上値が
抑えられる展開となっている。そのごのポンドドルは1.5370ドル付近まで軟調な動きとなった。大局
的な流れは下落である為、上昇時に損切りされた場合でも、再度ショートポジションを形成する必要
があると思われる。また、EUなどギリシャ支援策に不透明感が漂っていることも、ポンドドルに売り
材料となることだろう。
 米経済指標改善期待を背景に92円半ばから後半で推移したドル円は、米住宅着工は事前予想61.0万
件に対し62.6万件に増加する一方、米ミシガン大学消費者信頼感指数が事前予想より大幅に悪化し、
前回を下回る結果となったため、ドル円の上値は重い展開となった。その重い展開の中、米証券取引
委員会がゴールドマン・サックスを証券詐欺の疑いで提訴したことを受け、NY株式市場の大幅下落に
連動する格好でドル売りが加速し、ドル円は一時、91.90円まで下落。

 ゴールドマン・サックス問題は想定外だったが、金融機関への規制強化に繋がる可能性も観測され、
NY株式市場の上昇力の弱さも予想され、リスク許容度低下となり、ドル円の上値が重くなると考えら
れる。日本の政治・経済の停滞もあるが、米国側の悪材料が注視されることが多くなり、円売りも限
定的になると考えられる。また、米中間が繰り広げられている中国元切り上げ問題も円高圧力になる
との見方は強く、円高傾向になりそうだ。

 海外市場序盤のユーロドルは一時、1.3560ドルまで上昇したが、ギリシャ財政再建の不透明さを材
料に上値の重い展開となっている。ギリシャ政府はEU・IMFの資金支援に前向きであることを明らか
にしたが、資金支援策の運営方法をめぐる疑問は依然残されており、引き続きギリシャ国債利回りは
高止まりすることとなった。ユーロドルの上値は抑えられる中、ゴールドマン・サックス提訴問題が
浮上したため、リスク許容度低下による高リスク通貨を手放す動きが強まり、1.3475ドルまで軟調な
展開となった。

 ギリシャ政府が資金支援をEU・IMFへ要請した場合、ギリシャ政府の資金繰りに問題がある認識され
るうえ、今後の資金調達計画に支障が生じることとなり、南欧諸国財政赤字懸念は強まると見られる。
一部ではEU・IMF支援を好感しているようだが、運営上の問題も有り、資金支援に不安が残ることにな
るだろう。

 一方、ポンドドルも1.5470ドル付近へ上昇後、与野党いずれの党も議会過半数を得ることが出来な
いとする英世論調査によって、ポンドドル下落に弾みが付いた。同時に、NY株式市場軟調によって、
1.5365ドルまで下落している。一時、一部の英世論調査で、野党保守党が議会過半数の議席獲得なる
との情報にポンドドルは1.55ドル半ばへ上昇することとなったことから分かるように、英議会でハン
グ・パーラメントが避けられれば、財政削減が順調に進むとの見方によって、ポンドドルの上昇にな
ることだろう。野党保守党の支持率は41%へ上昇しているが、過半数獲得の状況になく、今後も世論
調査で一進一退の展開となるとみている。

ただ、ギリシャ政府の抱える財政問題、南欧諸国財政悪化懸念などによるユーロ独自の売り材料と英
政局不安による財政再建後退懸念によるポンド売り材料がある中、ゴールドマン・サックス提訴など
のリスク許容度低下となる要因がある限り、ユーロドルとポンドドルの上値は重くなると思われ、引
続き売りを継続したい。

 豪準備銀行の利上げ観測、中国経済など需要による資源価格の高止まりを材料に豪ドル・ドルは
0.93ドル前半で堅調に展開し続けると思われたが、中国国務院が不動産価格の過去最高の伸びを懸念
し、投機的取引を抑えるために引締めが必用との考えを示唆したため、0.92ドル前半へ下落した。ま
た、米金融規制などリスク許容度低下も豪ドル・ドル売りに拍車をかけることとなった。
米週間失業保険申請件数の大幅増加する中、一部の米連銀総裁が緩慢ながらも米景気の回復の兆し
が見られるものの、FRBの低金利解除は早すぎると発言したこと、中国元切り上げ観測やEU・IMFによ
るギリシャ支援策の運営上の問題点を指摘されるなど、安全通貨としての円買いが先行する展開とな
り、朝方の93.10円付近から92.58円まで下落した。また、イエレン米サンフランシスコ地区連銀総裁
が、8.0%を下回る米失業率の公算は小さく、今後のインフレ率も1.0%にとどまる見込みとしてうえで、
金利を長期間ゼロ付近に据え置くFRBの政策は正当化されるとした発言もドル上値を重くしたよう
だ。

 ただ、日本にも政治経済の悪材料によって一方的な円買いに歯止めがかかる中、投信設定など本邦
機関投資家などのドル円の買いが92円半ばに控えている。また、米住宅着工件数、ミシガン大消費者
信頼感指数が注目されるが、前回結果より改善する方向にある。ただ、序盤の欧州市場は売りが先行
すると思われるが、92円半ば以下での買いとしたい。

 一方、独、蘭、仏政府はギリシャ支援には議会承認が必要としているため、ギリシャ政府の緊急的
な資金要請に対しは対応できないとの見方が強まっている。また、ギリシャ政府は5月には約120億ユ
ーロ必要とされているが、EU・IMF支援策合意以降も、ギリシャ政府の資金調達コストは高止まりした
状態であり、金融市場がデフォルト懸念を強めだした証拠と観測される。

 また、米モルガンスタンレーがドイツのEU離脱を懸念していると英紙が報道したこともユーロドル
売りを加速させ、1.3585ドルから1.3535ドルへ軟調な展開となった。当初、ギリシャ政府の財政赤字
額隠蔽疑惑などにより、ギリシャをEU加盟停止など憶測も流れた時期もあったが、主要国である独が
離脱とは面白い見方だ。新たに、ドイツ・、マルクが復活するのだろうか?

 ギリシャ政府の財政赤字削減策は、公務員などのゼネストなどにより経済停滞が懸念され、税収不
足も浮上している。同時に、ギリシャの活発な地下経済活動も財政悪化に繋がり、ギリシャ問題が根
本的に解決したと市場筋は見ていないと思われ、引続きユーロドル売りを継続したい。WSJによると、
ギリシャは汚職などでGDPの少なくとも8%、200億ユーロ強を失っているとされている。また、アイス
ランドの噴火による欧州経済停滞もユーロドルの上値を重くする材料だろう。

 一方、ポンドドルは、昨日の英世論調査で野党保守党が議会の過半数獲得との報道に1.55ドル前半
へ底堅い展開となったが、結局、ギリシャ問題の悪材料にユーロドル下落に連動する格好となった。
予想を買いに修正したことが間違いだったようだが、確実に野党保守党が優勢に議会議席過半数を獲
得したうえ、財政再建策を実行すれば、ポンドドルは上昇するはずだ。ただ、英初のテレビ党首討論
は自民党がリードしたことにより、再度、ハング・パーラメントになる可能性が浮上したため、英政
局が混沌としている。連立政権となれば、財政再建の遅れが懸念され、ポンドドルの上値は重くなる
と見られる。本日も米経済指標の好結果が期待され、ポンドにとっては売りとなることだろう。昨日
は1.53ドル後半まで急速な下落に対し、後半の買戻しとなったが、ポジション調整と見られ、積極的
な買いとは見られないことから、下値を試すこととしたい。
米ドル
東京市場序盤は、前日
の堅調なNYダウの地合
いを引継ぎ、日経平均
が寄り付きから+100円
超で始まるとリスク選
好の円安の流れが優勢
となり、93.40円付近
で強含みの展開となっ
た。中盤にかけて、白
川日銀総裁が「景気の
二番底の可能性は大幅
に後退した」との見解
を示し、また、注目さ
れた中国の景気指標で
は第1四半期のGDPが予
想を上回り中国経済の
堅調ぶりをみせ、消費
者物価指数においては
予想を下回ったことに
より早期金利引き上げ
観測が後退したことか
ら、ドル/円は93.50円
付近まで上値を拡大し
た。その後は、ポジシ
ョン調整が入り93.30
円付近でもみ合うと、
終盤は中国金融引き締
めの噂でリスク回避の
円買いにつながり、93.
00円付近まで下押しさ
れた。バーナンキFRB
(連邦準備制度理事
会)議長の発言で米の
早期金利引き上げ観測
は後退し、人民元切り
上げ懸念もドルの圧迫
要因となっているもの
の、堅調な株式市場が
下支えとなっておりド
ルは当面、93.00円を
挟んだレンジに収れん
しそうだ。
予想レンジ
ドル/円
91.80 - 94.80

欧州通貨
朝方発表された英3月
ネーションワイド消費
者信頼感指数は72と前
回81から低下し、ポン
ド売りの反応をみせた
が下値は限定された。
東京市場序盤は日経平
均の上昇によるリスク
選好ムードのなかクロ
ス円が上昇、ユーロ/
円は127.65円付近、ポ
ンド/円は144.70円付
近までじり高となった。
中盤は、中国の景気指
標の好結果を受けて円
売りが優勢となり、ポ
ンド/円は145.00円付
近まで上値を伸ばした。
英国は最新の総選挙に
関する世論調査で保守
党の支持率が上昇し、
過半数の議席を得る可
能性が報じられると、
市場は安定政権となれ
ば財政赤字削減が進展
するとの思惑から、ポ
ンドは対ドルで1.5500
台まで続伸した。しか
し欧州勢参入後は、ド
イツ債に対するギリシ
ャ債のプレミアムが上
昇、ギリシャ資金調達
に対する懸念が再燃し、
ユーロ/円は126.00円
付近、ポンド/円は143.
50円付近まで急落した。
米経済が回復基調に入
りつつあるのと対象的
に、欧州はギリシャの
財政問題をはじめ英国
の選挙に対する思惑が
引き続き重石となるだ
ろう。
予想レンジ
ユーロ/円
125.00 - 128.70
ユーロ/ドル
1.3450 - 1.3720
ポンド/円
142.00 - 146.80
ポンド/ドル
1.5300 - 1.5630

オセアニア
東京市場序盤、日経平
均が堅調に推移したこ
とからリスク選好の円
売りが優勢となり、豪
ドル/円は
87.45円付近、NZドル/
円は66.85円付近まで
上昇した。ただ市場で
は、中国の金利引き上
げの噂がオセアニア通
貨の上値を抑えた模様
で、豪ドル/円は87.25
円付近、NZドル/円は6
6.65円付近まで軟化す
る場面もみられたが、
中盤に発表された中国
の景気指標の好結果を
受け上海株式がプラス
に転じると円売りが加
速、オセアニア通貨は
再び本日の高値付近ま
で値を戻した。しかし
終盤に入ると、ギリシ
ャ財政危機と中国金融
引き締めの噂によるリ
スク回避の流れから円
が買われる展開となり、
豪ドル/円は86.70円付
近、NZドル/円は66.30
円付近まで急落となっ
た。中国の金融引き締
めや人民元切り上げの
噂は引き続き重石とな
るものの、本日の中国
の景気指標の好結果は
オセアニア通貨の強力
なサポート要因となる
ため、下落局面では買
い場を探したい。
予想レンジ
豪ドル/円
85.00 - 88.10
豪ドル/ドル
0.9250 - 0.9430
NZドル/円
65.20 - 67.80
NZドル/ドル
0.7050 - 0.7230
バーナンキFRB議長の長期にわたる低金利政策維持発言に一時的にドル売りが強まったが、米経
済回復状況次第では、低金利の期間変更なども考慮するとの姿勢に、ドル円の一方的な下落となっ
ていない。また、個人消費回復を裏付ける米小売売上高の予想以上の改善もドルの下支えとなり、
93円前半から93.55円付近まで上昇となっている。

 この他、中国第一四半期GDPが事前予想11.5%より改善し、11.9%増と好感されている。同時に、
中国物価指数が3.0%以下に抑えられたことにより、金融引締め懸念は後退し、リスク許容度上昇に
よるドル円の買いに繋がったと思われる。米長期金利先高感を含む米国側の材料を見れば、ドル買
いとなる展開だが、海外勢は日本の悪材料に注目しだし、鳩山政権の脆弱さ、日本経済の閉塞感、
日本の財政赤字拡大懸念、国内の国債消化能力低下、本邦機関投資家のヘッジ外しと新年度外債投
資再開などによる円売り材料を背景にしたドル円の買いが観測される。

 EU・IMF支援策合意以降のドル円は92円台後半が底堅く、機関投資家などの買い意欲は高いと観
測されることから、引続きドル円の買いを継続したい。また、本日は米経済指標が目白押しだが、
ニューヨーク連銀製造業景気指数(前回22.86、事前予想24.0)、新規失業保険申請件数(同46.0
万件、43.5万件)、設備稼働率(同72.7%、73.5%)、鉱工業生産(同0.1%、0.7%)、フィラデル
フィア連銀製造業景気指数(同18.9、20.5)といずれも前回数値より改善予想となっていること
も、米経済の先行きの改善期待が高まることと考えられる。

 EU・IMF支援策合意によりギリシャ資金調達は無難に完了したが、依然としてEU・IMF支援基準が
不明であり、独国民の反対意見に独首相はギリシャ支援に後ろ向きの姿勢を強めており、ユーロド
ルは1.3665ドル付近から小幅ながら1.3635ドルへ軟調な地合いとなっている。また、ギリシャの資
金調達コストの高止まり懸念、ゼネストによる経済停滞などを材料に加え、EU委員会がポルトガル
も一段の財政赤字削減が必要との見方を示したことを受け、ユーロドルの上値は重くなると観測さ
れる。昨日のユーロドル上昇要因が、バーナンキFRB議長の長期間低金利維持発言によるところが多
く、EU圏の財政事情を考えれば、買うことに躊躇するはずだ。また、米経済指標の好調な予想にも
ユーロ売り/ドル買いの展開が予想される。ただ、何かの切っ掛けで1.37ドルを超えれば、ストップ
ロスを巻き込みながら3月につけた1.38ドルまで上昇する可能性は否定できないが、滞在時間は短い
と見てよいだろう。

 一方、英与野党勢力拮抗などによる英財政赤字削減の後退懸念などもある中、ポンドドルは下値
を模索しながらも、ユーロドル上昇に連動するように買われる地合いとなっていた。英世論調査に
よれば、与党労働党支持率は37%、野党保守党39%、自民党20%と野党がリードする状況でも、いずれ
の政党も議会の過半数の議席獲得は困難と見られ、ハング・パーラメントの連立政権による財政再
建の遅れ懸念にポンドドルの上値が重いと予想された。加えて、保守党だけが財政立て直しを推進
する政党と見られており、過半数獲得できない状況であれば、英国がギリシャに次ぐデフォルト懸
念が浮上し、ポンドドルは1.5460ドルの売り気配で始まった。

 ただ、本日の英デイリーテレグラフの世論調査によれば、英与党労働党支持率が大幅に低下し、
野党保守党が43%の支持を得、議会の過半数の議席獲得が予想されることとなり、1.5520ドルまで上
昇している。今までのポンドドル売り材料だった「いずれの政党も議会議席過半数獲得できず」を覆
す材料となり、野党保守党の財政削減策と併せて、ポンドドルの買い材料となることだろう。昨日ま
での売り予想からポンドドル買いに変更し、どの程度の上昇力があるか確認したい所だ。下値を探る
為のショートポジションの買戻しに火が付けば、意外高も予想される。
米ドル
NYタイムズ紙が「中国
の為替改革のアナウン
ス、数日内に近づいて
いる」と報じたことを
背景に中国の人民元切
り上げ観測が高まり、
欧州市場序盤から円買
いが加速、ドル/円は
一時92.85円付近へと
下落した。その後は、
欧州株がギリシャ信用
不安の高まりを背景に
軟調に推移したことを
受けたリスク回避的な
ドル買いに93円台前半
へと回復したものの、
中盤に発表された新規
失業保険申請件数が46.
0万件と予想の43.5万
件から悪化すると、再
び弱含みの展開となっ
た。しかし、NY市場序
盤には、ガイトナー米
財務長官と中国の王岐
山副首相の会談終了後
に発表された声明で人
民元相場に対する言及
がみられなかったこと
から一時93.25円付近
へと値を戻した。その
後も、弱含みに推移し
たNYダウが前日比プラ
ス圏へと上昇したこと
からクロス円が堅調に
推移すると、ドル/円
も中盤にかけて93.45
円付近へとこの日の高
値を更新し、ほぼ同水
準で取引を終えた。米
10年債の入札に続き30
年債入札も好調な結果
となり、引き続き高い
米長期債利回り水準が
ドル買い要因となって
いる。ただ、中国の人
民元切り上げ絡みの報
道や、ガイトナー米財
務長官の突然の中国副
首相との会談など、来
週前半に予定される胡
錦濤国家主席の訪米を
意識した思惑的な円買
い要因も出やすく、動
向には注意が必要とな
ろう。
予想レンジ
ドル/円
92.40 - 95.50

欧州通貨
ポンドは、欧州市場序
盤に発表された英2月
鉱工業生産指数が前月
比+1.0%と予想の同+0.
5%を上回り、同時刻
に発表された英2月製
造業生産高でも前月比
+1.3%と予想の同+0.6
%を大幅に上回り、昨
年9月以来の好結果を
示したことを受けて対
円は141.65円付近、対
ドルは1.5235付近へと
上昇した。ユーロは、
ギリシャ国債のドイツ
国債に対する上乗せス
プレッドがユーロ導入
以来最大に拡大したこ
とに加えて、格付大手
ムーディーズがギリシ
ャ国内の銀行格付け見
通しを引き下げたこと
が嫌気され欧州市場序
盤から弱含みの展開と
なり、一時対円は123.
45円付近、対ドルは1.
3285付近へと下落した。
注目されたBOE(英中
銀)政策金利発表では
市場予想通り政策金利
を0.50%と現状据え置
き、資産買い入れ規模
も2,000億ポンドと現
状水準が維持され、 E
CB(欧中銀)政策金利
発表でも政策金利を1.
00%に据え置くなど、
サプライズはみられず
市場での反応は限定さ
れた。 しかし、トリ
シェECB総裁が理事会
後の定例会見のなかで、
ギリシャについて「財
政再建策は説得力があ
る。デフォルトすると
は予想しない。資金繰
りが困難化しているギ
リシャ支援を目的に適
格担保の最低基準であ
るBBB-を2011年まで延
期する」また「IMF
(国際通貨基金)が関
与する支援は非常に悪
いとした言及は、間違
った引用」と発言した
ことを受けてユーロは
対円で124.50円付近、
対ドルで1.3365付近へ
と買い戻されると、NY
市場序盤にかけてポン
ドも対円は142.00円付
近、対ドルは1.5275付
近へと上昇した。中盤
には、米長期金利の低
下に加えて、NYダウが
上昇に転じたことから
リスク回避色も後退し、
ユーロ/円は124.80円
付近、ポンド/円も142.
75円付近へとこの日の
高値を更新する展開と
なった。複数メディア
からの英5月総選挙に
おける第一党の過半数
割れ観測に対する政局
不安や、英航空大手ブ
リティッシュ・エアウ
ェイズによるスペイン
の航空会社の買収報道
など、ポンド売り要因
に対する市場での反応
も高まっており、地合
いは依然として弱い。
ユーロは、トリシェEC
B総裁からギリシャ支
援に対する姿勢を強調
する発言がみられたも
のの、ギリシャのデフ
ォルトの可能性や資金
繰り難にある状況がリ
スク要因として残り、
根強いギリシャ債務問
題に上値を圧迫される
展開が続きそうだ。
予想レンジ
ユーロ/円
122.80 - 126.00  
ユーロ/ドル
1.3210 - 1.3500
ポンド/円
139.20 - 144.60  
ポンド/ドル
1.5010 - 1.5390

オセアニア通貨
欧州株が寄り付きから
軟調に推移したことに
加えて、商品市況も全
面安の展開に、豪ドル
/円は85.80円付近、NZ
ドル/円は65.30円付近
での小動きが欧州市場
中盤にかけて続いたが、
トリシェECB(欧中
銀)総裁が理事会後の
定例会見で欧州経済や
ギリシャ問題に対する
強気な見通しを示した
ことが好感され、欧州
通貨を中心にクロス円
が上昇すると、NY市場
序盤にかけて豪ドル/
円は86.55円付近、NZ
ドル/円は65.85円付近
へと堅調に推移した。
その後も、NYダウの反
発に加えて、原油や金
価格などの商品市況が
下げ渋ると、豪ドル/
円は86.80円付近、NZ
ドル/円は66.05円付近
へと中盤にかけて上値
を拡大した。しかし、
その後は動意に乏しい
展開となり、オセアニ
ア通貨はこの日の高値
圏での膠着した値動き
となった。豪ドル/円
は、日銀の追加金融緩
和観測やRBA(豪準備
銀)の政策金利の追加
引き上げ見通しを背景
に堅調地合いが続くと
みるものの、ギリシャ
債務問題を背景とした
リスク回避志向の拡大
や、中国の人民元引き
上げ観測により足元で
円が買われる動きには
警戒が必要となろう。
予想レンジ
豪ドル/円
84.90 - 87.80   
豪ドル/ドル
0.9180 - 0.9330
NZドル/円
64.10 - 67.00   
NZドル/ドル
0.6960 - 0.7170
欧州市場序盤、EU・IMF支援策の内容の不透明さやデフォルト懸念を材料に、ユーロドルは1.3310ド
ルから1.3283ドルへ軟調な展開となった。ただ、ギリシャ財務相が第1四半期の財政赤字は前年同期4
0%縮小したことやトリシェECB総裁がギリシャはEUの資金支援を必用としないと示唆したうえ、デフォ
ルト懸念もないと発言に、ユーロドルは1.3365ドルへ急回復している。加えて、米新規失業保険申請件
数が前週比1.8万件増の46万件と、事前予想43.5万件を上回ったことも、ドル売りを誘う要因となって
いる。

 また、ECBは政策金利を1.0%に据え置きながらも、資金供給オペの担保として引き続き低めの格付け
債券を受け入れる一方、リスクの高い担保資産には新たなリスク緩衝措置を取ることを明らかにした。
ギリシャの資金調達コストの高止まりを懸念し、国債格下げ懸念も浮上しており、EU圏金融市場の流動
性確保に安定性が増すこととなるだろう。

ただ、ギリシャの来年度財政赤字GDP比12.7%から12.9%へ悪化するとの見方もあり、積極的なユーロド
ル買いには抵抗がある。昨日のトリシェECB総裁発言はユーロドルに好材料となった模様だが、急速な
緊縮財政による経済停滞が税収減になる恐れもあり、ギリシャの第一四半期の赤字削減額だけでユーロ
ドル上昇が続くとは考え難いところだろう。本日の東京時間は、海外市場の流れを引継ぎ、一時的な買
戻しとなるだろうが、1.34半ば付近を壁にユーロドル売りとしたい。

英与野党勢力拮抗による英財政赤字削減が難航するとの見方が根底にあり、ポンドドルは1.5200ドル付
近から1.5140ドルまで下落することとなったが、英製造業生産者指数と英鉱工業生産者指数が改善した
ことを受けて、一旦1.5230ドルまで戻された。ただ、根底にある英財政悪化による国債格下げ懸念は根
強く、1.5160ドルまで戻された。市場はポンドドル下落志向を強めている感じが強かったが、ギリシャ
問題の後退と米失業者申請件数増加を材料によるドル売りによって、1.5270ドルまでストップロスを巻
き込みながら急上昇となった。

ポンドドルに関する好材料への反応は限定的だったが、外的要因によってポンドドルが買い戻されてい
るため、積極的なポンドドル買いにも限界があると感じられる。NY株式市場の巻き戻しは、ドルの下支
えになるとみられ、海外市場のポンドドル買いの流れも1.53ドル半ば付近が精一杯と思われるため、英
財政危機が回避されない限り、ポンドドル売りの仕切りなおしとなると思われる