生殖補助医療(代理出産)について | 第60回模擬裁判――早稲田大学民法研究会

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民法研究会は、法学会公式行事である模擬裁判を担当します。こちらのブログでは、2014年12月2日に行われる模擬裁判で扱う事案について関連のある記事とコメント・活動状況などを随時更新していきます!

みなさん、こんばんは!!広報班3年の伊藤です!

 

みなさんは生殖補助医療をご存じでしょうか。生殖補助医療とはARTとも呼ばれ、不妊症に苦しんでいる夫婦のために行われる、体外受精をはじめとする近年大きな進歩を遂げた不妊治療法のことをいいます。

 

今回は、生殖補助医療の一つである代理出産についてお話したいと思います。今回の模擬裁判で扱う事例とは異なりますが、生殖補助医療についての理解を深めるためにもぜひ読んでみてください!

 

 

まず、そもそも代理出産とはどのような出産方式なのでしょうか。聞いたことがあっても具体的にはどのようなものか知らない方も少なくないと思います。

 

代理出産とは、子供を授かりたいと考えている依頼者の夫婦のために、第三者の女性が自分の卵と子宮、または子宮のみを提供することによって出産し、依頼者夫婦がその生まれた子を引き取ることをいいます。

 

さらに、この代理出産は「サロゲートマザー」と「ホストマザー」の2つに大別できます。サロゲートマザーとは、依頼人夫婦の精子を第三者の女性(代理母)の子宮に人工授精の方式を用いて注入して懐胎させ、代理母が依頼人女性の代わりに出産するという方式です。


一方、ホストマザーとは、依頼人女性の卵を体外に取り出し、依頼人男性の精子と体外受精させた後、その受精卵を第三者女性の子宮に着床させて依頼人女性の代わりに出産してもらうという方式です。

 

では、このような代理出産は、自由に行ってよいものなのでしょうか。
それとも法律によって規制されており、定められた要件を満たさない限り許されないのでしょうか。

この点については国によって様々ですが、代理出産に関する法律が定められている国が多く、法律によって代理出産を認めている国と禁止している国に分かれます。

その一方で日本ではどうなっているのでしょうか。

 

実は、現時点では日本には代理出産を規制する法律は存在せず、医療措置を行う上で倫理に関する提言を行う「日本産科婦人科学会」の会告によって規制されているだけで、立法化されるには至っていませんでした。


そして、日本産科婦人科学会の代理出産に対する見解によれば、

①生まれてくる子の福祉を最優先するべきである

②代理懐胎は身体的危険性、精神的負担を伴う

③家族関係を複雑にする

④代理懐胎契約は倫理的に社会全体が許容しているとは認められない、

などの理由から、日本において代理出産は禁止とされてきました。

 

このような現状の中、つい先日大変興味深い出来事がありました。その興味深い出来事とは、生殖補助医療の法整備を検討している自民党プロジェクトチーム(PT)が先月の31日、代理出産を限定的に認めるなどとした最終的な法案をまとめたことです。


この法案の内容は、前述したように日本産科婦人科学会が禁止してきた「代理出産」について、妻が生まれつき子宮がなかったり、治療で摘出したりした夫婦に限って認めるというものです。


さらに、国が認めた医療機関においては、医学的に夫婦の精子と卵子で妊娠できない場合も、第三者の精子や卵子の提供による人工授精や体外受精を認めるという内容も含まれています。

 

ただ、党内でも異論があり、今国会での法案提出は困難であることから、来年の通常国会での提出を目指しているようです。


そのため、この法案が実現するのはまだまだ先のことです。

しかし、このような自民党の生殖補助医療に関する動きは、愛するわが子を授かりたいと切に願っているけれども身体に何らかの事情があるがゆえに通常の出産方式では出産することのできない方々の声が着実に反映されているのだと思います。

 

このブログを読んでくださっている方々にも、日本におけるこうした生殖補助医療の現状を少しでも知っていただき、代理出産という出産方式を選択せざるを得ない人々がいる中でもなお現段階では立法化されるには至っていないということについて問題意識をもっていただければ幸いです。