私自身、つい最近までその事に対して疑問も持たずに保守主義者と自認していましたが、近頃の言論を耳にするたびに「保守とは何なんだろう」と言う疑問を抱くようになりました。
たとえば、韓国政府を侮辱し、在日朝鮮人に対して差別的な発言をしたりする人々(反韓の人々)も一般的に『保守』と言われていたりします。
安保法(案)に対して賛成の人々も『保守』と言われたりします。
皇室に対し好意的な態度を取る人々の事を『保守』と呼んだりします。
これらに一体何の関連性があるのでしょうか。漠然と考えるとわかる気がするのですが、よーく関連性は意外と不明なものです。
恐らく上記の三つに共通するものは『日本の伝統を守る』とかそういった事だと思います。
反韓の人々の主張として『朝鮮人が日本の伝統をぶち壊そうとしている。それを守る必要があると考えているために、私は保守主義者と自認している。』と言う事が考えられるかと思います。
極端な例ですが、新大久保等で行われるヘイトスピーチで、旭日旗や日の丸を持ちながら在日朝鮮人を罵倒しながら行進する事は中々わかりません。『朝鮮人が愛する日本をぶち壊そうとしている。それをオレらは守るんだ。』と言う事なのかもしれませんが、守るべき日本とは一体何なんでしょうか。詳細は謎です。
安保法(案)では興味深い現象が起こっています。goo辞書によると、保守とは『旧来の風習・伝統・考え方などを重んじて守っていこうとすること。また、その立場』だそうです。辞書的な意味合いで考えると、現状を維持する事を好むと言う意味合いが強いと理解されても良さそうです。ところが、安保法(案)の議論では、賛成側、つまり現状変更推進側、 が保守とされています。これも一見すると意味不明です。
皇室に好意的な見方を人々を保守と言う事が一番整合性が取れているように思います。天皇陛下が日本を創り出したが故に、日本の伝統=天皇陛下の歴史と考えると保守思想として矛盾はないように思います。
しかし、歴史的にみて天皇陛下が政治的に力を持たれるようになったのは、明治維新以降です。それも西洋列強に対抗するため、近代国家を創設しなければいけないと言う必要にかられての事でした。日本が近代国家になるための障壁が国民の統合の象徴となるべきものが存在しない事でした。
西洋諸国には、キリスト教という西洋の歴史上絶対的な位置にあり続けたものがあり、憲法を制定するにあたり、その正統性を担保するもの、国民を統合する象徴としてキリスト教は非常に大きな意味を持っていました。
日本には、西洋におけるキリスト教のような存在が憲法を作成している当時ありませんでした。統合の象徴が無いが故に、代りに祭り上げられたものが天皇でした。
つまり、天皇とは近代国家を創る上での必要に駆られたが故に出来た非常に政治的な意味合いを多く含んでいるのです。
明治維新以降、多くの人々が皇室を大切に思ってきたと信じています。ですが、それが、極めて政治的な成り行きから生じたとした場合、保守する対象として考えてもいいのでしょうか。
誤解がないように言っておきたいのですが、私自身は、皇室に敬意を払っていますし、今後も絶やさずに続いてほしいと心から願っています。
ただ、保守主義者、保守と言う態度を取るにあたり、正統性が非常に大切だと思っています。その観点からみて、保守すべき対象が皇室が適切なのかわかりかねているのです。
日本における保守主義とはいったい何を保守しているのか。非常に漠然としたものだと言わざるをえません。