「新型コロナウイルスと介護」の関連で目に留まったニュースについて記していきたいと思います。

 

(コロナ禍での特例報酬のこと)

厚生労働省は、コロナ関係で、

デイサービス事業所などを対象とした「特例報酬」(実際のサービス提供時間より2区分上の報酬を算定可)を6月利用分より導入しました。

新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等 の臨時的な取扱いについて(第12報)

 

この通知を見た時、事業所救済が目的ではあっても、「ご利用者の方へ負担増を強いてしまう」内容だったので、悪手と感じたのですが、

やはりというか、「認知症の人と家族の会」から撤回を求める意見書が出されました。

介護保険-利用していないのに、事業所が請求ができる特例の撤回を求めます

 

 

今回の通知への各事業所の対応としては、

概ね以下のようなかたちに分かれたのではと思います。

①殿様商売をしている事業所(法人)は、当然とばかりに迷うことなく特例報酬の請求を行った。

②経営危機に瀕している弱小事業所は、請求しないという余裕はなく、請求をした。

③どのように対応してよいか判断できなかった事業所は、周りの事業所の動きを見て、多数に相乗りするかたちで請求をした。

④事務能力のない(上乗せ額の算定とご利用者への説明、記録等が困難な)事業所は、煩雑な手続きを回避して請求しなかった。

⑤常日頃経営判断等をしっかりと行っている事業所は、請求することのメリット、デメリットを勘案して、いずれかに決定した。

⑥日頃からご利用者目線を最優先としている事業所は、請求をしなかった。

 

「組織としての姿勢、哲学」などが問われた出来事だったのかと思います。

前回のブログの続きで言うと、「よい事業所」は⑤や⑥の行動をとったと思います

 

(「介護職員への慰労金」に関する兵庫県知事の見解 )

新型コロナの感染リスクのある中で、

感染者が発生した、または濃厚接触者に対応した事業所の職員へ20万円、

感染者も濃厚接触者もいない事業所の職員へは5万円を、

高齢者の暮らしを支えるために職責を全うしていることへの労をねぎらう目的で、

全額国費から支援される介護職員への慰労金を、

兵庫県の井戸敏三知事は、

「何もしていないのになんで慰労金を出すのか」と全介護職員を対象には支給しない見解を示したようです。

税金の無駄遣いは困りますが、

感染者が出ていなくとも、リスクを抱えた中で業務を行っている介護職員の姿を思い浮かべることができなかったのでしょう。

自治体により差が出ている事例の一つですね。

兵庫県民が選んだ知事ではありますが…、兵庫県の介護職員さんはお気の毒と思います。

知事“慰労金5万円は支給せず”

 

(余談)

東京都知事選挙が終わってしまいましたが、下記書籍は、一度は読んでみる価値のある本と思います。

 

 

インフルエンザやコロナ以外での肺炎による死亡リスク等と新型コロナを比較する意見が、以前より多く聞かれるようになってきていますが、

「高齢者は新型コロナに感染して重症化し死に至っても仕方がない」という国民全体のコンセンサスが得られているわけではないでしょう。

高齢者福祉に携わる人間には、感染させてしまうリスクを可能な限り回避しなければならない職責が求められていると思います。

対策へ無策の困った事業所のあることも事実かと思いですが、

しっかりと対策を行っている介護事業所が多いはずです。

 

介護保険の保険者である自治体の姿勢が問われている状況下と思います。

実地指導で書類等へ細かい指導をしている自治体は、このような時こそ各事業所を回って、状況把握、必要としているところへはアドバイスなどを行ってもよいのではと思います。