どんな時も、人生には意味がある。

なすべきこと、満たすべき意味が与えられている。

この人生のどこかに、あなたを必要とする「何か」があり、

あなたを必要とする「誰か」がいる。

そしてその「何か」や「誰か」は、

あなたに発見されるのを待っている。

『夜と霧』の著作で有名な精神科医「ヴィクトール・E・フランクル」の思想の「エッセンス」です。

 

 

 

新型コロナの世界的な蔓延の中、

収入減や勤め先の倒産、失業、身近な人のコロナ感染…etc、

人生の中でとても大きな苦境に立たされている方が多いのではと思います。

 

そうした環境にある今だからこそ、平時以上に、

「フランクル心理学」の思想は、私たちに希望や勇気といったものを与えてくれるのではないかと思います。

 

1991年のアメリカで「私の人生に最も影響を与えた本」においてベスト10入りを果たした著書『夜と霧』。

第二次世界大戦の際に「ナチスの強制収容所」へ収容されたフランクルが、自ら味わった、

目を覆いたくなるような陰惨な状況の中で体験したこと、

そのような限界状況下にあっても、「人間精神の崇高さ」に出会ったことが描かれています。

 

強制収容所生活の中で、家畜のような扱いを受け、明日の命の保証もない捕虜たちの中には、

死にゆく仲間のパンや靴などを奪い取る人間がいた一方で、

自分も飢えているのに、別のもっと飢えた人に自分のパンを与えた人、

あたたかい励ましの言葉をかけ続けた人のいたことが描かれています。

 

仕事を失い、経済的困窮などがもとで、家族が離散、

心労とストレスによってうつ病になってしまう、

さらに、そのような中で両親が病気になり介護が必要になる…

例えば、このようなつらい出来事が身に降りかかってきた時、

人は天に向かって、

「なぜ、自分が、こんな目に遭わないといけないのか? こんなことに、いったいどんな意味があるのか!」

と…やるせない気持ちの中でこのような問いかけをする方がほとんどではないかと思います。

 

フランクルはこのように言います。

必要なのは、「問いの観点の変更」である。

「人生から、何をまだ期待できるか?」ではなく、

むしろ、「人生が、何をわれわれから期待しているか?」である。

 

人間の原点は「人間は人生から問われている者」であるところにある。

人間にできること、しなくてはいけないことは、

人生のさまざまな状況に直面しながら、

その都度、状況から発せられてくる「問い」に、全力で応えていくことである。

その状況にひそんでいる真の意味を発見し、それに全力で応えていくことである。

そして、そうすることで、自分の人生に与えられている「使命」を全うすることに人生の意味がある。

 

「この人生から、あなたは何をすることを求められているのか?」

「この人生で、あなたに与えられている意味、使命は何なのか?」

「あなたのことを必要としている誰かや何かが、この世界にいる、あるはず。その誰かや何かに目を向けよう。」

「その誰かや何かのために、あなたのできることには何があるでしょうか?」

フランクルはこのように言っています。

 

例えば、宅配業に携わっている人でしたら、自分の届ける荷物を待ちわびている人がいることでしょう。

例えば、パソコンのサポートに携わっている人でしたら、トラブルの解決方法を教えてくれるサポートデスクの電話が繋がることを待っている人がいるでしょう。

身近な例で考えると、このようなことを言っているのではないかと思います。

 

「人生は、決してあなたに絶望しない」 (『100分de名著 フランクル 夜と霧』から抜粋)

 

 

 

時間リッチ。

「時間のあること」は、「豊かさ」の一つです。

今後の経済的な基盤について思案をしている方が多いと思いますが、

外出自粛が求められ、時間をたくさん持つことのできるこの機会に、

「フランクルの思想」に触れてみるのもよいのではと思います。

読んだ方の多くが、読後、読む前とは異なった前向きな気持ちになれるとよいなと思います。