子宮頸がんワクチン議論再開へ 厚労省、中旬にも検討会



行政・政治 2015年9月7日(月)配信朝日新聞


 子宮頸(けい)がんワクチンの副作用問題で、厚生労働省は今月中旬にも専門家による検討会を開き、中止している積極的推奨をめぐる議論を再開する。1年2カ月ぶりとなる。


健康被害を受けた人に医療費などを支給する審査も滞っていたが、検討会に合わせる形で本格化させる。


 検討会では、健康被害が報告された約2600人の追跡調査の結果が公表される。

これをもとにワクチン接種と健康被害の因果関係を分析した後、推奨の中止を続けるのかや、法律に基づく定期接種の位置づけをどうするのかを議論していく。

医療現場でも意見が分かれており、結論が出るには時間がかかる見通し。

 子宮頸がんワクチンは2013年4月に市町村が実施する定期接種となった。

健康被害の報告が相次いだことを受け、2カ月後の同年6月に検討会は、定期接種の位置づけは変えないまま、一時的に推奨を控えるべきだと提言。


2014年1月には、長期的な痛みやしびれなどの健康被害について「心身の反応」とする意見をまとめた。

 これに対し、被害を訴える人たちが反発、与党議員から早期の推奨再開への批判も出た。

検討会は2014年7月を最後に、推奨をめぐる議論はほとんどしてこなかった。

 厚労省は検討会での議論の参考にするため、健康被害の発生状況などを統計的に分析する疫学の専門家らによるチームを新たにつくる。


接種対象の小学6年~高校1年の女子について、接種の有無で痛みやしびれの発症状況に差がないか調べることを考えている。

この分析結果が、議論を左右する可能性がある。

 また、厚労省は検討会を開いた後すみやかに、健康被害を受けた人に医療費などを支給する制度への申請を審査する会合を開く。


7月末現在の申請は、定期接種になる前に任意で接種を受けたケースが98件、定期接種後が十数件。


うち結果が出たのは定期接種前の27件で、審査は進んでいなかった

厚労省は定期接種前の10年から公費助成していたことをふまえ、医療費などの支給は定期接種前でも定期接種と同水準にする方針を固めている。(田内康介、福宮智代)