日本産科婦人科学会、子宮頸癌予防へ細胞診とともに「必須の両輪」と強調

日本産科婦人科学会2015年9月1日(火)配信

 日本産科婦人科学会は8月29日、子宮頸癌予防ワクチン(HPVワクチン)接種の勧奨再開を求める声明を発表した。


同ワクチンを巡っては、接種後に疼痛などの健康被害に関する報告が相次いだことから、2013年6月に厚生労働省が接種勧奨の一時中止勧告を出し、現在の接種率はゼロ近くになっている。

同学会では、HPVワクチンが「細胞診とともに子宮頸癌予防に必須の両輪」として、早期の勧奨再開を要望している。

 声明では、HPVワクチン接種勧奨の一時中止勧告が出された後、厚労省の副反応検討部会などで専門家による調査、議論が行われ、接種後の副反応として報告された慢性疼痛や運動障害などは機能性身体症状によるものとの見解が出されたことに言及している。

さらに10万接種当たりの発生頻度は2.0件で、その後の研究でこれら症状とワクチン成分との因果関係を示す科学的、疫学的な根拠は得られていないと指摘している。


 同学会は、47都道府県に協力医療機関を設置しHPVワクチン接種後の症状に対する診療体制を整えたことや、2015年8月19日に日本医師会と日本医学会が「HPVワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き」をまとめたことに触れ、「接種希望者がより安心してワクチン接種を受けられる環境が整ってきた」と強調。


 日本では毎年約1万人が子宮頸癌に罹患し、約3000人が死亡、細胞診の受診率が欧米に比べて低いことなどを列挙し、HPVワクチン未接種による不利益についても科学的根拠に基づき考慮する必要があるとして、

「今後も子宮頸癌の根絶を目指し、HPVワクチンに関する科学的根拠に基づく知識と最新の情報を国民に伝えるとともに、ワクチン接種後の諸症状に対応しつつHPVワクチンの接種勧奨を早期に再開することを強く要望する」と訴えている。