HPV接種推奨中止で欧米系影響
子宮頸癌ワクチン推奨中止、欧米製薬メーカーの業績影響避けられず
2013年8月6日 化学工業日報 カテゴリ: 産婦人科疾患・癌・投薬に関わる問題


 厚生労働省が子宮頸がんワクチンの接種推奨を中止したことが、同ワクチンを販売している欧米製薬メーカーの業績に影を落とし始めている。米メルクは今回の推奨中止について「通期にわたり大幅なマイナス影響を受ける」と見ており、後発のメルクの追い上げを受けている英グラクソ・スミスクライン(GSK)も、「日本の子宮頸がんワクチン市場は減速している」(アンドリュー・ウィティーCEO)と厳しい見通しを示している。両社がこのほど発表した2013年4-6月決算でそれぞれ明らかにした。

 メルク(MSD)が販売している子宮頸がんワクチン「ガーダシル」の昨年の国内売上高は1・4億ドル。今年は4月から定期接種化されて売上増を見込んでいたが、厚労省が6月から積極的な接種呼びかけを見合わせたことで状況が一転した。4-6月の日本事業全体の売上高は、円安進行などにより前年同期比21%減の9・5億ドル。為替影響を除くと同4%減だった。

 「サーバリックス」を販売しているGSKは、後発のメルクの追い上げも相まって「昨年からサーバリックスの市場シェアが大幅に縮小している。この状況が大きく変わることはないだろう」と予想している。日本でのワクチン事業売上高は、4-6月で同4割以上減った。