1980年、僕が20歳の頃。さだまさしさんの狂信的なファンだったカノジョから「絶対観るべきだ」と言われてバスと電車で映画館に観に行った。


カメラマン志望の青年が、キグレ大サーカスに写真を撮りに行ってサーカスの虜になり、キグレ大サーカスの団員になる。彼の名前は、栗山徹。彼は懸命な練習を重ねて「ピエロの栗ちゃん」と呼ばれる人気者になる。しかし、ある日、テントの隙間から吹き込んできた風に煽られて、超満員の観客の前で綱から落ちて帰らぬ人となった。実在の青年の短い生涯を描いた映画のタイトルは「翔べイカロスの翼」である。


さだまさしさんは、この映画の主演を務め、同時に主題歌を担当した。それが「道化師のソネット」。美しい曲であるが、何よりもその歌詞は胸を打つ。


最近では、歌心りえさんが歌う動画がYouTubeで人気を博している。その透明な歌声と美しい歌詞が化学反応を起こして客席を圧倒する。


「翔べイカロスの翼」はドラマでは西城秀樹さん、ミュージカルでは子門真人さんが栗山さんを演じている。映画はインディーズ作品でマイナーな印象もあるかもしれない。まずはその存在を知って欲しい作品である。