ネトフリのドラマ「軍検事ドーベルマン」


(どうしても避けられなかったネタバレ…お許しください!!)


「梨泰院クラス」で敵役を演じたアン・ボヒョンさん演じる、ト・べマン(この名前がドーベルマンの音に似ている)が、軍検事として両親を死に追いやった軍内の権力者の悪事を暴いていくドラマ。


ト・ベマンと両親が巻き込まれた20年前の交通事故の記憶を呼び覚まし、彼を復讐に導くのは、チョ・ボアさんが演じる新人軍検事のチャ・ウィン。彼女も6年前に父親が罪を着せられ、事故死した過去を持つ。


2人が軍内の不正、隠蔽、犯罪に向き合い、最大の敵である師団長ノ・ファヨンに迫るための証拠を積み上げていく。ノは、弁護士のヨン・ムング(キム・ヨンミン)と力を合わせながら、周りの誰も信じずに、女性として権力の頂点を目指していく。自分の1人息子すら、そのための道具として使う。


どうしようもない師団長のバカ息子ノ・テナム(キム・ウソク)は、母親がチャ軍検事の父親を陥れて奪った会社のお飾り代表を務めていたが、犯罪を犯し、軍隊に入隊させられ、刑務所行きを免れる。


鉄板のコメディ要素たっぷり。ト・べマンとチャ・ウインとのなかなか交わらない恋の行方に「イー」となりながら、スカッとする判決を積み重ねながら本丸に近づいていく展開も申し分ない。


13話。軍内で横行していたイジメの標的になっていたピョン・サンウ(キム・ヨハン)が軍の宿泊施設で起こした銃乱射事件。死刑を免れなかった犯罪だが、イジメは陰湿で執拗だっただけに、ピョンが死刑を言い渡される場面で泣き崩れる母親の姿が切なかった。


1人息子の極刑を覚悟していた母親が、息子に新しいメガネを買ってチャ検事に渡す母親の言葉。「死への旅に目が見え辛いのは困るだろうと思って」というのが涙を誘う。


この銃乱射は、キューブリックの「フルメタル・ジャケット」を思い起こさせる。


このドラマで1番の印象を残したのは、ノ師団長の1人息子が、人として成長を遂げていき、母親の恐怖支配から逃れて、心優しい青年に変貌を遂げるエピソードだろう。


この復讐・軍隊・法廷ドラマの中で最後に爽やかに母親を支えようとする青年になるとは思いもしなかった。金にものを言わせてやりたい放題で、母親の威の影に隠れながら、トラウマティックに母親を怖がる息子をよく演じていた。


やはり思うけど、日本のドラマとは違う手触りなんだけど、これを日本人キャストでやると(特にコメディ部分)嫌味が出てしまう。日本人ではないアジア人が演じているから大丈夫なのか。


主演のト・ベマンを演じるアン・ボヒョンさんは身長190cm近くで、とにかくかっこいい。テーラーで仕立てたスーツにコートを着こなすその立ち姿。色といいスーツのデザインといい、お手本にすべき着こなしを見せてくれて清々しい。