僕は、そうだなぁ、どの辺りからだろう、キムタクが好きになった。いや、キムタクが主演するドラマが、である。


観始めたのは1998年の名作ドラマ「眠れる森」だった。「あすなろ」「若者のすべて」「ロンバケ」「ラブジェネ」までは、古畑任三郎シリーズ以外は観ていない。2000年の「ビューティフル・ライフ」から見始めたので、これではファンとは言えないなぁ。なにせ、古畑任三郎での犯人役が秀逸で、あれはやはりキムタクだからこその化学反応だったと言える。だってキムタクをひっぱたけるのは田村さんレベルでなければいけないし、あれがキムタクでなかったら、叩かれたからってどうってことなかったのだから。


ちょうどビューティフルライフの頃、東京出張のついでに代官山のハリウッド・ランチマーケットに立ち寄り、少し派手めだけどマフラーを買った。そのマフラーをして職場に行ったら「どうでもいいけど派手だ」「ウミヘビみたいで趣味が悪い」と言われた。しょげかえっていたら「ビューティフル・ライフ」で同じものをキムタクが首に巻いてて心臓が止まるかと思った。それみたことかと職場で話したら「キムタクが巻くからカッコいいのであって…」とか言われて「ま、そりゃそうだ」と納得しちまったというわけ。


それから、フジの名作「HERO」でキムタクぅうとなったのは言うまでもない。ドラマ史に残る名場面は、スペシャルでキムタクが山口県の海沿いの町「虹ケ浦支部」での殺人事件で、犯人である中井貴一さんの取調をする場面だった。


たぶんノーカットだったと思う。(長回し一発撮りだと思われます)殺意の根拠を久利生検事(キムタク)が問いただす場面での中井貴一さんの演技は神がかっている。よくキムタクは泣くのを堪えたなぁと思った。そこにあのワンカットの場面そのものの軸である中井さんの芝居を壊したくないという「受け」に徹したキムタクの凄さがビンビン伝わってくるやりとりだった。堤さんはカメラが引になったところで涙を拭っている、見間違いでなければ…。


久利生公平がいつも着ていたキャメルカラーのダウンジャケットが流行った流行った。すぐにベイジング・エイプのダウンとわかったが、全然手に入らないし、プレミアがついてて買えるわけもなかった。というか、無理をすれば買えるのだろうが、僕は学習していた。「キムタクが着ているからカッコいいんだ」である。ま、「踊る大捜査線」のカーキ色の青島コートを買おうとしたけど諦めた前科もあるしね…懲りないなぁ(笑)