僕は脚本を書いていた時、タイトルは最後に決めていました。書いている途中で「これだ!!」と思いつく場合もありますが、なかなか決まらず一人で頭を掻きむしる時も(←ちょっと大袈裟かな?)


中島みゆきさんの名曲からタイトルをいただいたこともありましたし、役者の身長をそのままタイトルにしたこともありました。一度脚本集に乗せたいからと言われた時に「Shall we dance?」という映画が流行ってた頃で、僕の「Will you dance?」というタイトルにクレームがつくかもしれないから変えて欲しいと選考委員の方から言われた。僕の脚本の方が早かったし、ジャニス・イアンの曲名だから、問題はないのではないかと思って、やや不愉快な気持ちになった。


これを忖度というのだろうなと思いながら、「三十年後の私へ」とタイトルを変えてお知らせしたら、大変感謝された。周囲の方が怒っていて「ここで引いたらダメ!!」「タイトルは脚本、つまりは演劇にとってこの上なく大切だ」「怒って『変えられない』と突っぱねればいいんだよ」と言われた。僕は「そうですよね!」と言いながら、あっさりと降参した。というよりも、最初のタイトル自体、ジャニス・イアンの曲名だからね。そっちの方を問題にしてもいいんじゃないかな、と思っていた。ややディスカッションの多い脚本だったし、失敗作だと思っていたが、それはあまり関係なかった。下ネタもイケてなかったしね。


映画のタイトルやポスターで客の入りが決まる時代は確かにありました。「太陽がいっぱい」「勝手にしやがれ」「時計じかけのオレンジ」邦訳の魅力もありますね、間違いなく。現代って、映画が封切られる前にすでに情報が流れ出ていることも少なくなくて、観てからすぐに感想をアップする方も少なくなくて、ネタバレを避ける/あえてネタバレを許容するなど様々な戦略でアプローチされていると了解します。松尾スズキさんの「生きてるし死んでるし」というお芝居を観に行き、途中でISという状態というか個人への言及がなされていたところ、クスクスがあちこちで起こり始め、僕も途中でこのヌメヌメした「生きてるし死んでるし」というタイトルが示している状態をISと呼んでることに気づいて、声をあげて笑ってしまい、周囲の顰蹙を買った。でもカッコいいですよね、「生きてるし死んでるし」。松尾スズキさんのお芝居のタイトルは、脱力系、エロ系で本当にやられます。


大学生の頃、ピンク映画のタイトルを友達に音読して差し上げるという遊びをしておりました。誤解なきよう!!僕はそんなんじゃないですから。そんなのって…ここで2、3紹介したいなぁ…いや、このブログの品格が…あったっけ…