メゾン・マルタン・マルジェラはフランス発のブランドでデザイナーはマルタン・マルジェラです。彼は2008年に引退して、今は鬼才ジョン・ガリアーノがデザイナーを勤めています。30代の頃、東京に出張すると原宿や代官山に服を見に行くのが好きでした。「マーチンマルジェラ?聞いたことねえな」とその店に入って名札を見て「ここは来たらあかんとこや」と早々に引き上げたのを覚えている。


郷里のアート系の素敵な映画館で、ややマイナーな名作を堪能していた頃。映画を待つ間に向かいにある無機質に見えてオシャレなお店に入ってみてビックリ。マルタン・マルジェラのお店でした。セレクトではなくマルジェラのものしか扱ってないお店がこ、こんなところに!!こいつはすげぇ!


僕は、アイビー・ファッション→ムッシュ・ニコルに傾倒し、そこからハリウッド・ランチマーケットに惚れ、NEXD(デザイナーの千寿さんは別府の人らしい)、SOPHと移ろって、コム・デ・ギャルソンに行き着いて、しばらくはギャルソンにハマりまくっていた。そして最後にたどり着いたのが、マルタン・マルジェラでした。もちろん買えるわけもなく、ひたすら見て楽しむ程度なんですけどね。唯一レプリカのオードトワレでジャズクラブの匂いに惚れてしまい、しばらくはそれを使っていた。でも使い切る前に劣化してしまい、香水臭いと言われて、着けなくなりました。


マルタン・マルジェラのデザインはまだまだ尖っています。ニコルやコムサなどがディフュージョンラインに舵を切る中、ギャルソンはいまだに高い価格帯で戦っています。メルカリに出る時にはかなり値段も下がるけど…


洋服の仕立て屋の息子であることが関係しているとはもはや思えないが、若い頃は本当に衣類や時計にのぼせていた。GUやUNIQLOで事足りる生活をしていて、なんの不自由も感じない今、やっと病が治ったように感じる。これは依存症の一種だったんだと思う。後悔はしてないなぁ。若い間はのぼせあがる何かがあってもいいのではないだろうか?