僕は昔からくじ運が良くなくて、何かを決めるジャンケンでも勝ち残った試しがなく、なんなら最初に1人負けして大笑いされた挙句、おつかいにいったりしてきた。自己評価が低いせいか、ジャンケンやくじ引きの際には、最初から負けた気になっているもんだから、気合いも入らず、ここで決まるぞって時にシッケた顔になってる。負けに行ってるのか?と蔑む視線に耐えながらジャンケンに挑む。自信がないからねやや後出し気味に出すと、後出しだぁと責められ、そして負ける。「後出しして負けるってどーゆーこと?」と呆れられる。やれやれ…
大学生の時、スペイン語会話クラブに所属していて、夏合宿で小豆島に渡った。(何が悲しくてスペイン語会話クラブやねん)とツッコまれそうだが、大学は学ぶところだと自分に言い聞かせていたし、仕送りなし、奨学金とアルバイトでどうにか通っていた僕は、暑苦しい使命感によって形作られていた…と思う。
閑話休題。
小豆島での日本語禁止の活動中に、スペイン語版ジャンケン(どんなだったか覚えていません。なにせ40年以上前なので)で当然負けた僕は、民宿から一番近い自動販売機に辿り着いた。何を買うかは任せるという心的負担の大きなおつかい(しかもスペイン語で言いやがった)で自販機の中のアイテムを見たが魅力的なものはなく、適当に押して出たものをと思っていたら(報復)、オロナミンCが落ちてきた。「苦情が出るぞ〜」と思いはしたが「オマエニマカセタ」とスペイン語で言われたのは確かなのでいい気になってお金を入れて適当に押したら、またオロナミンCが出てきた。しかも今度はお金を入れていないのに3本目、4本目とオロナミンCが落ちてきて止まらなくなった。「ラッキー!!」と喜んでいたら、果てしなくオロナミンCが落ちてきて、ジャージのポケットには収まりきれず、自販機の前はオロナミンC祭り状態になった。どうやって持って帰ったらいいか思いつかず、半べそをかいて、やっぱり僕は運から見放されているんだと認識した。その後のことはよく覚えていない。とにかく僕は運がない。その事実だけは心に刻み込まれた。
そして昨日、何気なく買ったガリガリくんをぼーっと食べていたら生まれて初めて当たりが出た。やったーと小躍りしたが「はて、これで僕は一生分の運を使い果たしたんじゃないかという恐怖に襲われた。「ヤバい。たかだか80円のガリガリくんごときで、運を使い尽くすとは…」しかも、いい大人がコンビニにこの薄っぺらい棒を持ち込んで、嬉しそうに1本もらって何も買わずに帰れるだろうか?僕はきっと必要とは思えない買い物をして「あくまでもついで」を装い、一本もらうのだろうか?あの日の小豆島でのオロナミンCの悪夢の如く、毎回当たりくじが出て、永遠のガリガリループから抜けられなくなるんじゃないか…お金を払わず、ガリガリくんを食べ続ける日々ってどうよ。
僕は、ティッシュで包んだガリガリくんの当たり棒をカバンに忍ばせて、無限ループとの闘いに備えている。果てしなきガリガリくんとの闘いに備えて、僕は店員さんの冷笑に耐えるべく、心を鍛えているのだ。