荒俣宏さんの「帝都物語」が映画化された時に、ワクワクして映画館に出かけた。小説は読んでないけど、日本産のSFを史実(?)を絡めて映像化したその試みにハマって観に行った。ストーリーは覚えてないけど、加藤保憲を演じた嶋田久作さんの出立ちや演技、そしてその声に胸をザワザワさせられ、恐怖を覚えたことだけは忘れない。怪優と言っても過言ではない。周りに絶対馴染まないタイプの役者である。そこにいるだけで、こちらが見るだけで、狂気だったりこの世のものではない何かを思い起こさせる俳優は、劇団SCOTの白石加代子さんと嶋田久作さんの2人だと思っている。


白石さんは、数々の舞台作品や映像化作品に登場していて、ライフワークとして「百物語」を続けておられた。狂気女優と言われる所以は、SCOTの「劇的なるものをめぐってII」での演技だと思われる。


さて、嶋田久作さん。僕は羽田空港の出発ロビーで気配を消して座っておられる嶋田さんを発見。いくら消しても消えるわけのないオーラを感じた。普段はそんなことはしないのだが、僕は駆け寄って握手を求めた。「東京グランギニョルの飴屋法水さんとはもうやらないのですか?」と質問したら「詳しいですね」と言われた。「もし機会があればまたやりたいんですけど。」という答えをいただき、感動した覚えがある。


最近は、ドラマでも普通の人の役も演じられていて、やはり役者さんはすごいと思わせてくれる。でも何と言っても、加藤保憲に関しては、彼にしかできない役だったと確信している。今回は少しコアな映画の紹介になりました。ストーリーとかはすっ飛ばしていますが…よかったら、ぜひ!