ヘレン・メリルが来日して今はなき大分文化会館でコンサートをしたのは何年前だろう。ネットで調べれば出てくるんだろうけど、今回は敢えて「何年前だろう」でいこうと思う。


詳細な数字は、それ自身実はそう重要ではない場合が多い。例えば何か法的なものだったりに結びつけるためには日時、時系列の事実の積み重ねが必要になる。


さて、そのいつかの夜のヘレン・メリルのステージは最高だった。代表的な曲は、おそらくテレビやラジオで流れるこの歌を聞いたことのある人は少なくないだろう。


You’d be so nice to come home to.

あなたのところに帰れたら素敵なんだけどなぁ


訳は僕が。帰るのは「私」ですね。そんなの出てきてないじゃん、と思うでしょうけど「私」はこのタイトルを口にした、もしくは心の中で思った人。仮定法を生かせば、「もし帰るとしたら」を補う必要があるかな。なんだか硬いなぁ。


ヘレン・メリルは、日本で取り上げられるとしたら先ずこの曲だし、それ以外にありえないレベルで、この曲が彼女の代表曲になってしまっている。クリフォード・ブラウン(トランペッター)との共演を果たしたアルバムのジャケット写真は有名。クリフォード・ブラウンは天才の名を欲しいままにし、酒やドラッグを避けたが、交通事故に巻き込まれて、25歳の若さで他界した。


ジャズ・ボーカルは、ジャズにおいても重要なジャンルであり、サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデイなどが挙げられる。なぜか僕は女性ボーカルのアルバムを買ったことがないんだけど、これって偏見?と不安に思う。大好きなジャズボーカルは?と聞かれるとジョニー・ハートマンと答えるだろう。コルトレーンのくつろいだ演奏をバックに歌い上げるハートマンは最高であり、ぜひお聞きいただきたい。My one and only loveなんて、身体中の汗腺が開いて、水分が出ちゃうくらい良いんだけどなぁ。


そうそう。僕の好きな日本のジャズボーカリストに阿川泰子さんがいて、80年代に活躍していた。大阪の難波にあるライブハウス「街」(だったと記憶している)に阿川さんが来た時に友人と聞きにいった。その澄んだ甘い歌声は最高だった。実は阿川さんは文学座にいて、松田優作さんの友人だったそうです。どうでもいい話だけど…