※ネタバレが含まれています。ま、みんな知ってるか?


行定勲監督が撮って大ヒットした「世界の中心で、愛を叫ぶ」は、誤解を恐れずに言うと「難病もの」と呼ばれるジャンルに属する。大沢たかおさんと柴咲コウさんの恋愛であり、朔ちゃん(森山未来)と亜記ちゃん(長澤まさみ)の恋愛でもある。実はこの映画を観た感想は、「飲み込めない」というものだった。それは最愛の亜記の遺灰をウルルで撒いてしまったからだ。あれほどの密度で、あれほどの純粋な熱量で人を愛した後にその人の願いとは言え、新しい恋人と2人で、亜記と行きそびれたウルルに行って、遺灰を撒く。それはダメだ、と少し失望した。


ドラマ版は2人の出会いから関係性の進展、病気を発症して荒れる亜記と必死に支える朔太郎、そしてキーパーソンになる朔太郎の祖父が濃密に絡み合って、丁寧に描かれている。とにかく台詞がいい!!そして山田孝之と綾瀬はるかがこのドラマに映画で描ききれなかったディテールを与えてくれた。最愛の祖父を亡くしても平気でいる朔太郎に手を広げる亜記と「自分が壊れそうなほど傷ついていること」「泣いていいんだ、悲しんでいいんだ」と亜記が笑顔で広げた腕に抱かれて、号泣する朔太郎の場面には、僕も涙を出し惜しみしなかった。


いつも祖父を自転車の後ろに乗せていた朔太郎は、祖父のいない軽さに気づいてしまう。そして、亜記が後ろに乗ってその穴を埋めるという脚本の凄さに震えた。


このドラマの制作陣には、映画を撮った行定監督も参加している。そして、主題歌は柴咲コウさん。何より、山田くん演じる朔太郎は、ウルルで手のひらの上の亜記の遺灰を撒こうとして撒けずに、手のひらを握りしめる。大人になった朔太郎を演じたのは緒方直人さん。緒方さんが亜記を思って遺灰を撒くシーンはまぁどうにか許せたかな。でもそれは、山田くんの名演技があったからだと思う。


語っちまった。勝手に思いの丈を…語っちまった。好きなんです。このドラマ!!ま、わかりますよね…