30年前のある日、それは突然やってきた。
仕事中に目が痒くなって、あれ?あれ?と思っていた。常備していた目薬を差しても治まらない。振り返ってみれば、鼻が詰まって苦しくなり、夜中に何度も目覚めていたことも気になり始めた。
風邪かと思い病院に行ったら「花粉症」だと言われた。なんだその優しい名前の素敵な病気は!!そうだ、奴は耳障りの良い可愛らしい名前で人類を地獄に引き摺り込んだのだ。
「山育ちのくせに、花粉症なんかにかかってるんじゃないわよ!」と怒鳴っていた近所のおばちゃん。気づいたら、ちり紙を鼻に詰めて「チキショウ、ばべてた(舐めてた)ぁぁ」と己を呪う始末だ。
「いつになったら治んだよ」と周囲に聞いても、「完治しないらしいよ」「死んだら治んじゃね」「ある日突然治るらしいよ」と実しやかな根拠薄弱な話ばかり。
そうやって、僕と花粉症の30年戦争は始まった。
毎年、「1月くらいから薬飲んどくと、症状が軽くて済んだのにぃ」と医師に言われる。そうだ、毎年僕は「迂闊者」を繰り返し演じている。
「あれ、お前、目がぶち腫れてるぞ」
「え?」
これが密かな宣戦布告だ。5月くらいには長い一時休戦に突入するが、それまでが地獄だ。
漢方薬や症状を和らげるというサプリの飲み残しが捨てきれずに戸棚の中に溜まる。市販薬、点鼻薬、アレルギー用の目薬でどうにか凌ぐしかない。油断すると喘息症状が出るので、吸入器を切らすと死にかける。
そんな僕が9月から「森の仕事」に就いてしまったのだ。迂闊な僕は、就職を喜び、祝杯すらあげたのだ。そして2月末に「あっ!!しまった!!仕事間違えたぁぁ」と思ったのは、「さぁ、杉の林の検査に行きましょう」と言われた時だった。マスクとタオルで完全防備をしたつもりだったが、目の前の光景に唖然とした。
「今日はモヤってますよね」
「ああ、あれは杉の花粉。空が黄色く見えるね」
「…」
その日から症状は最悪なステージに。果たして僕は生き残れるのか?あと何回、杉の林の検査に行くんだ!!…」
続報を待て!!